スポーツ

トニー・ホームはLAに住むフィンランド人――フミ斎藤のプロレス読本#007【Midnight Soul編2】

 もしもプロレスとめぐり逢わなかったら、この人はいまでもハリウッド・ブルバードあたりのバーで用心棒でもやっていたのだろうか。プロレスラーになったことで、この人はいままでよりもハッピーな自分をみつけることができたのだろうか。プロレスラーになったこれからは、いったいなにをどうしていくつもりなのだろうか。映画俳優になる夢はまだ捨てていないのだろうか。  ホームのはなしを聞きながらそんなことを考えていると、真新しい新日本プロレスのブルーのジャージの上下を来た日本人がバスに乗ってきた。空手家からプロレスに転向したばかりの斎藤彰俊だ。  “反選手会同盟”というチームのメンバーとしてほかの日本人選手たちを敵にまわして闘っているため、この選手もまたシリーズ中は外国人グループと行動をともにしている。  頭をツルツルに剃り上げて、ふだんはその頭をバンダナですっぽりと覆い隠している。鋭い眼光がいかにも格闘家らしい。  プロレスに入るまえ、彰俊は名古屋の誠心会館という流派で実戦空手をやっていた。学生時代は水泳で全日本学生選手権に出場したことがある。もともとプロレス志望だったが、体がそれほど大きくなかったため断念し、社会人になってから空手をはじめたのだという。  そして数年後、空手家としてプロレスラーを相手に他流試合をやりはじめたことがきっかけで、巡りめぐってプロレスの世界に入ることになった。  正式にプロレス団体に入門してプロのレスリングを基礎から学んだわけではないから、いまのところは殴る、蹴るの試合しかできない。
斎藤文彦

斎藤文彦

 他流試合をやっていたころからずっと空手着を着てリングに上がっていたが、プロレスラーになったいまはそれがひとつのキャラクターになった。(つづく) ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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⇒連載第1話はコチラ

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