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ド底辺高校では「1~100を数える」補習授業がある

◆ド底辺高校問題=貧困問題。カレーが不人気の理由とは

青砥 恭氏「九九ができない。アルファベットが書けない。底辺校では普通の話」

 そう語るのは、底辺高校の実態をリポートした『ドキュメント高校中退』の著者である青砥恭氏だ。

「底辺校の高校生の学力は驚くほど低い。小学校低学年レベルの学力のまま放置され、数学では1〜100を数えさせる補習授業が行われているところもあります」

 底辺高校、定時制高校の統廃合の影響で定員割れすることは減ったものの、入学は実質無試験。そのため、LD(学習障害)などの発達障害が放置されたまま入学してくるケースも多い。

 しかし、単純に学力の問題として片づけることはできない。青砥氏はこう強く指摘する。

「彼らの多くは貧しい家庭に育ち、まともに勉強する機会すら与えられていません。高校卒業後の進学者が少ないのは親に経済力がないから。底辺校の問題は貧困問題とセットで考える必要があります」

 大阪府のある底辺校の学食を運営する業者によれば、一番人気は130円のポテトフライだった。

「安くて腹持ちがいいから人気で、カツカレー(350円)やうどん(250円)は高くて売れない。底辺校ほど学食がないのは、学食で食べられない生徒が多く、経営が成り立たないからなんです」

 また、青砥氏は「全国の高校を調べたわけではないが」と前置きしつつ、意外な共通点をこう話す。

「底辺校はたいてい交通の便が悪い学区の端にあります。交通費がないから、自転車で1時間半かけてくる生徒もいる。底辺校の先生は『自宅が学校から遠い生徒からやめていく』と口を揃えます」

 こうした底辺校の問題をどう解決すればいいのか。民主党の看板政策である高校無償化の影響で、7年ぶりに高校中退から再入学する生徒が増加。無策というわけではないが、青砥氏の注文はこうだ。

「底辺校の生徒にとって高校が最後の社会との接点。高校中退では仕事も見つけられない。貧困の連鎖を止めるためには、制度として中退をなくす必要があります。そうすれば『ほかの生徒に迷惑になる』と生徒を退学させる先生もいなくなる。ただ、もはや先生だけで解決できる問題ではない。福祉や地域社会と連携して包括的に支援していく必要があるんです」

ド底辺高校が抱える問題は、決して他人事ではない。

【青砥 恭氏】
NPO法人「さいたまユースサポートネット」代表。元埼玉県立高校教諭。著書に『ドキュメント高校中退』(ちくま新書)

取材・文・撮影/鈴木大介 澤田晃宏 仲田マイ
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