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「休憩時間のノンアルビールはアリかナシか」論争で見えた日本人らしさ

管理職の気持ちを慮る日本人

 職場固有の問題はあると思います。  このOLさんと上司はたぶんコミュニケイションが円滑に行われてないでしょう。だから、「なんでビール!?」と上司は怒り、「間違えちゃいました?」と、無意識に(または無邪気に)返してしまったのです。  挑発的な意味を分かって「間違えちゃいました?」とは言ってないような気がします。そういう人なら、上司との戦いは別のレベルになっている気がするからです。  だから、ひとつは、この職場のこのOLさんと上司の問題です。他の職場で、ノンアルコールビールを飲んでいるOLさんがいて、コミュニケイションが円滑なら、上司がさらっと「それは?」と聞き、「あ、これ、ノンアルです」ですむ話です。  でも、圧倒的多数の日本国民は、基本的に、そして原則的に職場でノンアルコールビールを飲むことを非常識とするのです。  ノンアルコールってさらっと書いてますけど、基本的にソフトドリンクは全部、ノンアルコールですからね。休憩時間に、僕達はノンアルコールコーヒーやノンアルコールコーラを飲んでるんですからね。  欧米では、昼食時にビールやワインを飲む光景は日常です。どれぐらい飲んでも仕事できるかは、以前、日本で流行った自己責任です。アルコールを軽く飲んだことで、気分転換になって仕事がはかどるかどうかも、自己責任です。  日本は「職場の雰囲気を考えろ」と突っ込まれます。これは自己責任の問題ではありません。これは自己ではなく、管理職の目線です。  話はいきなり飛びますが、外国からやってきたほとんどの演出家は、日本人の俳優はとても演出しやすいと言います。自分の国では、俳優にある演技を求めると、必ず「どうしてそういうことをするのか?」と質問責めに合い、なかなか納得しなくて苦労するそうです。でも、日本の俳優は「演出家さんはそうしてほしいんだ」と先に考えてくれて、「演出家の立場を慮(おもんぱか)って」文句を言わないのです。  自己よりも一番偉い人を思いやるのです。つまり自分の気持ちより、演出家とか社長さんや管理職の気持ちを一番大事にするのです。 ※「ドン・キホーテのピアス」は週刊SPA!にて好評連載中
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この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録

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