恋愛・結婚

旧統一教会の合同結婚式で結ばれた日本人カップル3組を直撃――婚前恋愛の禁止、宗教への偏見に何を考える?

 世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)の「合同結婚式」が様変わりしている。今年9月7日に韓国・清心ピースワールドセンターで開催された「世界一のマンモス結婚式」。その熱狂ぶりは、前回のレポート「旧統一教会の国際合同結婚式に潜入! 日本人カップル数は1400人で過去最大に」にあるとおりである。

 では、新郎・新婦は実際に何を考え、どんな動機で合同結婚式に参加しているのか? 日刊SPA!は6組の日本人「二世」カップルに直撃。前後編に渡ってリアルな肉声をお届けする。二世とは親が旧統一教会の信者で、自身も産まれたときから教義に囲まれて育った信者のこと。現在、旧統一教会ではこの二世が急増中。合同結婚式で結ばれた両親の子供が、今度は自分も合同結婚式に出席するというのだ。

CASE #01■「統一教会は邪教」高校教師の言葉に……

新郎:S・T(21歳・大学4年生)/趣味=プロ野球観戦
新婦:M・S(20歳・大学3年生)/趣味=友達と遊ぶこと

 合同結婚式に参加する新婚カップルたち、特に二世信者たちは驚くほど年齢が若い。ともに大学に通っているこちらのカップルは、21歳と20歳。合同結婚式に参加できる最低年齢は20歳なので、条件を満たしてから速攻で結婚に踏み切ったことになる。ご存知のように、現在の日本は「経済的に不安」「仕事が忙しくて家庭どころではない」「まだ恋愛して青春を謳歌したい」などといった理由から、晩婚化に歯止めがかからないでいる。なぜ旧統一教会の信者たちは結婚を急ぐのだろうか?

S・T:自分的には、早すぎるなんて思わないんですよ。祝福を受ける(合同結婚式に参加する)というのは、これまでもずっと考えてきたことなので。少なくとも大学生のうちには受けたかった。統一教会に関して個人的に一番葛藤していたのは何かというと、恥ずかしい話なんですけど、それは異性関係なんです。つまり「恋愛しちゃいけない」ということですよね。その葛藤があったからこそ、祝福は若いうちに受けたほうがいいと考えたんです。

――でも、新郎はいかにもモテそうじゃないですか。バレンタインとかで女性から告白されたら、どう対応してきたんですか?

S・T:「そういうの、俺はいいかな」って考えるようにしていました。自分が告白されるのは、まだいいんです。だけど人間だから、やっぱりこっちも人を好きになってしまうことがあるじゃないですか。好きな子ができても、親からダメだと言われていたからその感情を押し殺して。あの……自分ってそんなに真面目な信者だとは思わないんですよ。高校のときなんて、それこそ礼拝にもあまり通っていなかったですし。だけど「恋愛はしちゃいけない」っていうことだけは、しっかり守っていたんですよね。

――ストイックな清純派アイドルみたいな考え方ですね。

S・T:友達と一緒にいると、「えっ!? お前、女とつき合ったことないの!?」みたいな話になるんですけど、それが本当に嫌で……。自分としては「いや、違うんだ!」って言いたくて仕方ないんです。「モテない奴らと一緒にしないでくれ! その気になれば恋愛くらいできるんだよ!」って(笑)。今の世の中って、「恋愛できない奴=何か欠陥がある人」みたいな考え方がないですか? 恋愛弱者に対して厳しい雰囲気。そういうのもあって、すごく追い詰められていました。

――恋愛の問題以外で、信仰がグラつくようなことはこれまでありませんでしたか?

S・T:ありました。高校生のとき、ちょうど通学路の途中に(旧統一教会の)教会があって、自叙伝を配っていたんです。うちの学校の生徒も、何人かはもらっていたと思う。それでその日、世界史の授業中に先生が言ったんですね。「これ、もらった人いますか?」って。先生は手に持っていた自叙伝を床に叩きつけると、「もらった人がいるなら、私がすべて回収します」と吐き捨てるように言いました。それから黒板に「文鮮明」「統一教会」って書き出した。で、もうあることないことボロクソに言うわけですよ。「統一教会なんて邪教中の邪教だし、こんな教団と関わったら人生ボロ雑巾にされるぞ!」と。そのとき、初めて自分は知ったんですよね。統一教会が世間からどう見られているのかっていうことを。それまで何の疑いも持っていなかったわけだから、すごいショックでしたよ。

――トラウマになりそうな話です。

S・T:世界史の授業が終わっても、生徒は口々に「統一教会ってヤバいね」みたいに話しているわけですよ。それなのに「俺、そのヤバいところにいるんだけど……」なんてカミングアウトできるはずないですよ。それ以来、会話の中で「統一教会」っていう単語が出ると、「ふ~ん、そんなも話あるんだね」みたいに無関心を装うようにしていますけど。

 果たして公立高校の教師がひとつの宗教に対し、そこまで踏み込んだ話を授業中にしていいのかは疑問が残るところだ。たしかに旧統一教会は高額の霊感商法などによって、一時期、大きな社会問題となったのは事実である。だが、一方で日本では信仰の自由が認められている国家だ。S・Tさんによると、その世界史の教師は日教組系だったとのこと。勝共連合(編集部注:統一教会教祖・文鮮明が創設した「国際勝共連合」の通称。反共主義の政治団体で、昭和の大物フィクサー・笹川良一が名誉会長を務めた)などの運動を展開していた旧統一教会を目の敵にしていたのかもしれないが……。

――出会ってから今日に至るまでは、どんな感じだったんですか?

M・S:10月に初めて会ったときは、普通に水族館に行きましたね。そこで、いろんな話をしたことを覚えています。普段は何をしているのか? 中高生のときに部活は何をしていたのか? お互い、相手のことを知らないわけですから。そこからは月1ペースで普通にデートしてきました。12月には表参道や六本木で「イルミネーション巡り」したし、2月にはお台場に出かけたし。LINEでも、ほぼ毎日連絡を取り合っていましたね。スタンプも普通にクマのやつとかを使って。いたって普通の恋人同士だと思いますよ。

 会話の節々に「普通」というフレーズを挟み込んでくるM・Sさん。自分たちは普通。旧統一教会の信者だからといって、特別視しないでくれ――。そんな主張が根底にあるのかもしれない。たしかに2人で話している様子は、一般的なカップルにしか映らない。どんな家庭を築くつもりか尋ねてみると、「これから話し合っていきますけど……」と照れながらも、「子供は3人くらい欲しいですね」と笑った。旧統一教会の信者ということで必要以上の受難を受けたこともある2人だが、今、ようやく「普通の」幸せを手にしようとしている。

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二世にとって統一教会は“与えられた信仰”

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