ファンクスとHBKとECファッキンWが“同室”の空間――フミ斎藤のプロレス読本#129[ECW編エピソード21]
試合を終えたばかりのウィリー・ウィリアムスが「知り合いの子どもから頼まれた」といってHBKにサインをもらいに来た。HBKは“熊殺し”ウィリーのことをあまりよく知らないようだった。
テリーのよれよれのレスリングは、そこにいたみんなをプロレスファンの気持ちにタイムスリップさせていた。
映像制作班のアシスタント・ディレクターがレイヴェンとドリーマーとフランシーンに“スタンバイ”を告げにきた。レイヴェンは「この試合を観てからじゃダメなのか?」とふくれた。
学級委員的キャラクターのドリーマーがそういう号令をかけたかどうかはわからないが、インターミッションのあとの最後の2試合になるとECWグループはアリーナの入退場口に出て、そこからリングの上をにらんでいた。
巨大スクリーンのすぐ下の、照明があたらない場所にはドリーとテリーのファンクスが立っていた。レフェリー仕様のストライプのシャツに着替えたHBKは、暗がりのなかでほんのちょっとだけファンクスと立ちばなしをしていた。
――試合を終えたばかりのレイヴェンは、シャワーも浴びないまま入場ゲート横の階段部分に腰を下ろした。
HBKは「ワン・ブレス、ツー・ブレス、スリー……」と日本式のカウントをもういちど確認しながら入場ゲートの裏側のほうに歩いていった。横浜アリーナにあの音楽が響きわたった。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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