スポーツ

レジーねえさんはいつもバスの窓から外の景色を眺めている――フミ斎藤のプロレス読本#132[ガールズはガールズ編エピソード2]




 レジーねえさんはどこででも暮らせる人だ。海のそばにアパートメントを借りていっしょに住もう、といい出したのはブランディのほうだった。

 レジーは1年じゅうアメリカと日本を行ったり来たりしながらプロレスをつづけていけばいいし、ブランディはブランディでいまのところはお勉強のことだけを考えていればいい。

 家賃を払うのはレジーねえさんで、レジーが留守のあいだ、家のなかをきれいにしておくのがブランディの役目ということになっている。

 レジーは、自分がいちばん自分らしいのは旅をしているときだ、と考えている。いままでは帰るところがなかったり、帰るところはどこなのかを知りたくて、流れたり流されたりしていたけれど、これかからはそうじゃない。

 知らない町へ行って、知らない人たちのまえでプロレスをみせてあげることが“レジー・ベネット”の仕事なのだということにようやく気がつきはじめた。

 移動バスのなかではみんな、グーグー眠っているけれど、レジーはいつも窓の外から外の景色を眺めている。もったいなくて、もったいなくて、昼寝なんかしていられない。

 ディファレント・ピープル・ドゥーイング・ディファレント・シングスDifferent people doing different things.プロレスをつづけていれば、知らない町の知らない人びとのハートとふれあうことができる。

 たまに自分が日本にいるんだということを忘れてしまう瞬間がある。夜中にパッと目がさめて、あれ、ここはどこだっけと思うときがある。

 そういうときは、たいていブランディに電話をかけなくちゃいけない日だったりするのだ。

※文中敬称略
※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦

1
2
※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス読本」と書いたうえで、お送りください。




おすすめ記事