五紀さんとガールズのシーズンズ・グリーティングス――フミ斎藤のプロレス読本#144[ガールズはガールズ編エピソード14]
ニューヨークの夜は長い。“go”の営業時間は午前2時まで。翌朝の午前11時からはまたランチタイムがはじまる。シーフードを扱っているレストランだから、板前さんたちの仕事は開店時間よりもはるかまえからはじまる。
五紀さんは、そのあいだずっとお店の女将、妻、母でありつづける。五紀さんがいてくれないとどうにもこうにも困ってしまう人たちがたくさんいる。
ぼくはごく最近、母になったばかりの女性の友人からこんなアドバイスを受けた。
≪ねえ、子どもについて考えてごらんよ。家族をつくるのは悪くないよ。未来を信じられるからね。わたしはわたしの命だけではみられないたくさんの進歩した姿――科学とか社会とかいろいろ――を子どもを通じて想像できるようになったよ≫
母なるものに変身した元“女の子”は、地球規模の発想とパワーを手に入れてしまう。
五紀さんもきっとそうなんだろう。家族とはどうあるべきなのか。夫婦とはどうあるべきなのか。母親とはどうあるべきなのか。そして、子どもたちの将来はどうあるべきなのか。
ファミリーをひとつの単位で考えると、自分たちの未来、ニューヨークの未来、そして、地球の未来がなんとなくみえてくる。
“go”があるセント・マークス・プレイス通りは、イーストヴィレッジのなかでもとびきり元気でお洒落な石畳のストリートだ。
五紀さんは、話したいことが山ほどあるという顔で後輩たちの訪問を待っていた。大切な人たちと大切なおはなしをする時間。ホリデー・シーズンとはそういう季節なのだろう。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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