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2018年「核戦争の危機」を歴史学者・磯田道史が警告

歴史学者磯田道史

歴史学者・磯田道史氏

日本人と韓国人が被害者となる「核戦争の危機」が迫っている!!

――2018年となりました。今年はどんな年になると思いますか? 磯田:2018年は、日本が明治維新を経験してから150年目。2019年に予定されている、憲政史上初めての天皇陛下ご譲位に向けてさまざまな準備が行われます。昭和から平成に変わったとき(1989年)も、人々のマインドには大きな影響がありました。また、冷戦が終わったり天安門事件があったりと、一時代の終わりが強く印象づけられました。 ――今年も、何か大きな時代の変化があるのではないかと。 磯田:今年は、アメリカと北朝鮮の緊張がどの方向に向かうかが、日本にとって最も重要な1年になると思います。明治維新以来、この島国が西洋の巨大な軍事力にどう対処するかという150年でした。今は西洋ではなく、北朝鮮という違ったかたちの脅威ですが、島の外からの軍事的な大波に翻弄される姿は変わっていません。 ――いまの米朝関係について、どのように見ていますか? 磯田:我々日本人が思っている以上に、軍事衝突して核戦争が起きる危険が高いと私は考えています。その戦争の主な被害者は、韓国人や日本人ということも想定されています。それなのに、自分たちに被害が降りかかるとは誰も想像していない。「起きて困ることは、起きないことにする」という日本人の思考パターンは、まったく変わっていないと感じます。 ――それはいつ頃からですか? 磯田:明治維新のときから庶民はそうでした。でも、維新を動かした武士階級はもともと軍事組織でしたから、明治期には事前想定で動くエリートがいました。そして日清・日露戦争、第1次大戦ときて、昭和の陸軍は負けることを想像しなくなった。勝ったときのことばかり考えて戦争したわけですね。  世界最大の人口を持つ中国と、世界最大の軍事力を持つアメリカと、世界最大の面積を持つソ連、当時世界最大の情報力を持っていたイギリスと同時に戦ったわけですよね。勝てるはずがない。これは軍事でも外交でもなく、“自殺”に近い。国家意思をまっとうするというよりは、戦うことそのものが目的になってしまった。さらには、戦うことより討ち死にすることが目的のようになっていった。
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