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まずいラーメン屋がまずい理由。ビジネスを成立させるのは仕組みと気遣い<魂が燃えるビジネス>

 いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第31回  お正月休みは初詣や初売りなど家族や友達と出かける機会がたくさんありましたが、その時に困るのが食事処です。正月休みで普段は候補から外すようなお店でも、「ここで済ませるか」と妥協せざるをえません。  私もその例に洩れず、友人と普段は行かないラーメン屋に入りました。その店は背脂ちゃっちゃ系の醤油ラーメンがウリで、十年以上前はタウンガイドでもランキング一位になるような人気店でした。
ラーメン屋

※写真はイメージです

 しかし、時の流れは残酷です。久しぶりに入ったその店は雰囲気も接客も料理もどうしようもないレベルまで落ちていました。 ・そこまで混んでいないのに注文がなかなか来ない ・スタッフ同士で常に私語を交わしている ・スタッフのTシャツがシミだらけで汚い ・スタッフのチノパンからトランクスが盛大にはみ出している ・研修期間の中国人留学生に一人でレジ打ちさせている ・ラーメンが不味い  悪夢のような出来事が一時間に満たない滞在時間で次々と繰り広げられました。それは「もう二度と来ない」と思わせるのに十分でした。もし来年の今頃、また同じ状況になったとしても私はその店だけは避けて他を探します。こうして商売は儲ける機会を損失していきます。  もしその店が10年前と同じ水準だったら、「久しぶりだけど、やっぱり美味しいな。また来よう」と考えたかもしれません。では「また来ようかな」と「二度と来ない」を分ける決め手は何でしょう。  私はそれを「気遣い」だと考えています。例えば今回のお店なら、研修中の留学生にレジ打ちをさせるにあたり、慣れたスタッフを一人つけるくらいはできたでしょう。店内が空いていて、私語をしている余裕があるならなおさらです。  留学生も研修中も問題ではありません。「不慣れなスタッフを気遣う」という発想がないから、結果的に接客にも支障が出ます。こうした一事が万事につながっています。私たちは決して馬鹿ではありません。特別にグルメや評論家でなくとも、料理が出される前から全体の雰囲気を通して、どんな店なのかを察することができます。
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どんなにマニュアル化しても、気遣いは補えない
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