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いまどき公衆電話を使う人は怪しいと思え――新宿区大久保の場合

“売人”O氏の言い分

 さらに、M氏の紹介で自称・売人のO氏にも話を聞くことができました。 「オレがやってるってわけじゃなく、一般的な話ならしてもいいけど……」と前置きしながら口を開いてくれました。 「プッシャーは、客のところへ次から次へと回らなくりゃいけないんで、移動は車、バイクが多いよね。持ち運びは、男はパンツの中に入れてガムテープ、女はブラの中、これが基本。こうしておくと万が一、警察に身体検査されてもまずバレないから。で、客と会う前に、パチンコ屋のトイレなんかで必要な分量を取り出し、茶封筒なんかに入れるわけだけど、入れ物としては、お菓子の箱もよく使われるね。箱の底の糊止めをきれいに剥がし、中にモノを入れてから糊止めし、未開封に見せるわけね」  とにかく、プッシャーは受け渡しの時はかなり用心しているのだそう。 「客に渡すときも、バイクから降りずにさっと渡してすぐに立ち去ったり、車を停めて客に『ちょっと乗ってくれる』って言って移動しながら渡したり。気を使う人間になると、タクシーを使ったりもしてるみたいよ。タクシーだと、まず警察から職質されることがないから」  そんなふうに警戒しながら、1日中配達をしていくのだそうです。  では、プッシャーはどれくらい稼ぐんですかね? 「プッシャーのギャラは、運んだ金額の1割の歩合。今のシャブの値段はグラム3万円くらいだから、例えばシャブを1g運んだら3000円。だけどシャブ中は多いし、それこそ公衆電話とかからガンガン注文が入る。1日最低2、3万はいくよ。月60万くらいはいくかな。ま、一応言っておくけど、シャブの販売は、初犯でも執行猶予が付かず3年は打たれるよ。そういう商売だから、悪い気は起こさないほうがいいよ」 ※ ※ ※  公衆電話やら、お菓子の箱やら、なんとも庶民的なモノがとんでもないものに使われているとは。いやはや、裏の世界の人はよく考えますよね。 【仙頭正教】 歌舞伎町ガイド人。立ちんぼスポットからボッタクリ客引き、心霊ビルまで、町の“怪しい”に精通。月2回、カブキの裏スポットを案内する『歌舞伎町観察ツアー』を開催中。ツイッター(@sento1025)※月刊『裏モノJAPAN』編集部・所属
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