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不倫、結婚サギ、離婚…ファッション誌「着まわし」企画の設定がぶっ飛んでいる

 最近はファッション雑誌で着まわし企画を目にする機会が増えたように思えるが、そもそもどういった狙いがあるのだろうか。 「主人公のモデルを日常のありがちなシーンで登場させることで、読者は自分自身を重ね合わせ、コーデの実例をマネしてみたくなる。着まわしは定番の人気企画となっています」  そう話すのはとある女性誌の編集者(30代)。とはいえ、日常とも言い難いようなぶっとんだストーリーが展開されることもしばしばだ。それどころか、できれば避けたいような境遇に設定されていることもある。果たして、その背景にはなにがあるのか。 「着まわしはどの女性誌でも頻繁にやっているので、差別化が難しい。テーマ的にはデートなどの“モテ”や“TPO”が中心になるので、どうしてもシチュエーションがネタギレしたり、写真の見せ方がマンネリ化したり。着まわしの内容(コーデの完成度や見せたいアイテム)を重視すれば、ありきたりなストーリーにもなりがち。だから、どの雑誌も企画を考えるのに必死なんです! そんな中、結婚詐欺や離婚、不倫みたいな、ある意味でタブーなテーマに踏み込んでみたり、変わったストーリーで勝負したりする雑誌が増えているのではないでしょうか」

制作スタッフたちの汗と涙の結晶

 深刻なネタギレやマンネリ化……。とはいえ、いわば妄想のストーリーだが、結婚詐欺や不倫とは、なかなかエッジが効いている。様々なファッション雑誌で活動するスタイリスト(30代)によると、編集者やライターから「ムチャぶり」がくることも珍しくないという。 「たまに、そんなシチュエーションのコーデ組みにくいよ! って思うこともありますけどね(笑)。でも、それはそれで読者が楽しんでくれるならアリかなと。こうした着まわし企画の撮影は、ロケやスタジオ、一般のお店など、様々なシーンがあるぶん、ものすごく大変です。だからこそ、完成したときの達成感はひとしおですね」(スタイリスト)  いま、ユニークな切り口の着まわし企画がネット上で話題になることも多いが、その裏側には、制作スタッフたちの見えない苦労があるらしい。今後はどのような着まわし企画が登場するのか注目していきたい。<取材・文/藤山六輝>
ライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』(共に彩図社)など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』(辰巳出版)がある。Twitter:@gold_gogogo
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