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自分が発達障害だと知った衝撃。友人はみんな気づいていたのに…

 正式な結果は1週間後。その間に僕は、渋谷の「発達障害BAR BRATs」という店に行くことにした。ここはスタッフや客がほぼ発達障害の当事者という珍しい店で、酒を酌み交わしながら悩みをぶつけ合っているという。この店に集う人たちと話したときに、何かシンパシーを得るのだろうか……。いわば“民間診断”である。
大人の発達障害

「発達障害BAR The BRATs(ブラッツ)」マスターの光武氏以下、スタッフや客もほぼ発達障害の当事者だ。生活や仕事、恋愛の悩みをぶつけると、発達障害による自らの失敗談も交えながら親身に相談に乗ってくれた

 結論から言えば、このバーで僕は自分が発達障害だと自覚した。  なぜなら僕の体験談はことごとく“発達障害あるある”らしく、店内で大いに賛同されたからだ。 「学生の頃、問題集を一問でも間違えると1ページ目からやり直さないと気が済まず、何度やっても最後まで進めなかった」 「自分の家のものが変な場所に移動するのが許せなくて、友達が来ても絶対に動かさないように頼む」  それらは「自分ルールに異様に固執する」という特性らしい。正直、これまでは発達障害にかなりネガティブなイメージを持っていた。しかし、仕事の悩みや日常生活での苦しさを、皆に「わかるよ」と言ってもらえたことが嬉しくて、そのときは自分でも驚くほど救われた気持ちになったのだ。マスターの光武克(みつたけすぐる)氏はこう話していた。 「大げさに言うと、発達障害の人は普段は人間の姿をしている『平成狸合戦ぽんぽこ』のタヌキみたいなもので、頑張って化けて合わせているけど、いわゆる“普通の人”とは中身が違うかもしれない。でも自分で自分の特徴を知っていれば対処はできるんです。苦労は多いかもしれないけど、決して悪いことばかりではないですよ」  そして迎えた検査結果の日。その内容はあっさりと伝えられた。 「数値的にASD(自閉スペクトラム症)だと思われます。ADHD(注意欠陥・多動性障害)傾向も少しあるようです」  かくして記者は友人の指摘通り、発達障害だった。しかし正直、ショックよりも楽になったという気持ちのほうが強い。それは発達障害の人の体験談を聞いてきたからだろう。自分の特性とは向き合える。いい意味での開き直りが、今後の人生を助けてくれそうだ。<取材・文/週刊SPA!編集部>
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発達障害グレーゾーン

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