雑学

年収300万円未満の家庭が収入よりも“大切にすべきもの”

 15%を超える貧困率(等価可処分所得が中央値の半分を下回る相対的貧困者の割合)が社会問題となっている日本だが、その予備軍の増加も深刻化している。

「ほぼ貧困世帯」が収入よりも大切にすべきものとは?


「世帯年収300万円未満のご家庭で、余裕ある生活はなかなか難しい。お子さんもいればなおのことです。しかし、そのご家族が幸せかどうかを決める際には年収以上に大切なものがあります

 そう指摘するのは、年収の多寡を問わず、数多くの家計にアドバイスを重ねてきたファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏。

「幸福度を測るにあたって『地位財』と『非地位財』という考え方があります。地位財とは年収や社会的地位、そして持ち家や車など周囲と容易に比較できるタイプの財産。それに対して、非地位財は健康や友情、愛情など、他者との比較とは関係なく得られる目に見えない財産のことです。地位財によって得られる幸福に比べると、非地位財によって得られる幸福度は、長続きするのが特徴です」

 つまり年収にとらわれず幸福度が高い人は、この非地位財を大切にしている人が多いということ。

幸福度を下げる要因は『慣れ』と『比較』だと言われています。どんなにお金があっても、その状態に慣れてしまうと幸福を感じなくなっていきます。また、周囲のもう一段上の人の暮らしぶりを見て、羨ましく思ってしまうと、どうしても幸福度は下がってしまうものです。非地位財こそ、こうした人との無用の比較によらず、幸せを感じることができる“本当の財産”と言えるでしょう」

 そして、このような非地位財を得るコツは、意外と当たり前の習慣にあると黒田氏は語る。

「大切なことは“日々への感謝”そして“隣の芝生を見ない”。身近にある幸せを人と比べずに、きちんとかみしめて満足するという“知足の精神”が大切なのです。世帯年収300万円未満の生活水準は確かにカツカツではありますが、絶望的ではありません。おいしいケーキも毎日食べていれば飽きてしまうように、生活レベルを無駄に上げず、『ハレ』と『ケ』のメリハリをつけて日々暮らしていくことが、幸福度を高める秘訣です

 さらに、こうした非地位財を軽視すると、年収300万円未満世帯においては思わぬ落とし穴にハマってしまうこともあると黒田氏は警鐘を鳴らす。

「貯蓄をする余裕がない人が突然ケガや病気になってしまうと、一気に生活が破綻してしまうリスクがあります。年収が低い人ほど交際費が捻出できず人間関係を絶ちがちですが、家族や知人と健全な関係性を保てていれば、それだけで生活が破綻するリスクは低くなります。『貯金がない』『保険に入れていない』『勤務先の福利厚生が充実していない』といった人こそ、本来は人との繫がりを重要視することが肝心です

 低年収を悲観することなく、ポジティブに生きる。これこそが苦悩脱却への近道なのだ。

【黒田尚子氏】
ファイナンシャルプランナー、CFP1級FP技能士。立命館大学卒業後、日本総合研究所に入社。’98年に独立し、生活に根づいた個人相談や各種セミナーを行う

― 年収300万円家族の苦悩 ―





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