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“M-1暴言じゃない方”のスーパーマラドーナ田中が魅せたテキトー感

「トークの妙味」と、一貫した「欲のなさ」

 言うまでもなく、田中の漫才のボケとしての能力は高い。15年・16年・17年、そして今年のM-1で4年連続決勝進出という実績が何よりの証明だ。  ただ、田中にはトークにも独特の妙味がある。例えば、11月に開催された、今回のM-1の決勝大会進出の9組が発表された記者会見での言動。自分にとってM-1とは?という質問を受けた田中は「仕事の一つ」と言い放ったのだ。  そもそも田中は以前から、仕事に熱意のない芸人として知られている。美人妻と揃って出演した『新婚さんいらっしゃい!』では「未だになんですけど、お笑いがよくわからないんです」「しんどいの嫌なので、(M-1)優勝はいいですね」と明かし、桂文枝を笑わせていた。  お笑いを志した理由が「大学を辞める理由」というのも驚きだし、実績があるにもかかわらず「笑いのことがよくわかっていない」という矛盾も面白い。  M-1に関しては、相方の武智が「俺が一番M-1のこと思ってんねん!」と熱意を何度も口にしてきた。その一方で、田中はM-1、さらには仕事に対する熱意のなさを一貫して表明してきた。仕事が増えるのも嫌だという。その「欲のなさ」は「やる気のなさ」と解釈されかねないが、田中の場合は悪い印象を与えることがない。「良い具合に適当」で、緩い面白さがある。それは様々な番組や舞台で発揮されている。

田中は仕事が減ってもウェルカムかもしれないが…

 一見すると普通なのに、普通じゃない。そんな魅力を感じさせる田中からは、目が離せない。そう思っている人は少なくないだろう。  だが、彼はあくまでも、スーパーマラドーナのボケだ。武智の騒動がどれほどの影響を及ぼすかは今後を見守るしかないが、やはり筆者は、スーパーマラドーナとしての活躍を、もっと見ていきたいと思う。田中としては、仕事が減ることはウェルカムなのかもしれないが、件の騒動が沈静化することを願うばかりだ。 <文/エンタメライター・優希タカシ>
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