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元アイドルたちが語れなかった“本当の引退理由”

売れないタレントにつきまとう金銭的な問題

 たいして売れていないアイドルがそれだけでは食べていけないことは周知の事実だが、元タレントのみいさん(24歳・仮名)も「完全に金銭的な問題で辞めました」と話す。 「芸能界で売れるのが夢でした。最初は仕事のない日はコンビニや居酒屋で働きながら、テレビ番組のエキストラとして出演したり、オーディションに通ったりしていたんですが、いきなり撮影が入ることも多いからすぐにバイトをクビになってしまったんです。うちは母子家庭で弟や妹がいるから、長女の私が多少はお金を入れなきゃなんですよ」  生活費に加え、オーデションに行く交通費、美容代や衣装代など売れないタレントは実費の負担も多い。そこで、彼女が選んだ仕事は高級デリバリーヘルスだった。 「最初は抵抗がありました。でも半日で10万円近く稼げるし、高級店だからかお客さんも質が高くてストレスもない。話すだけや添い寝だけの人もいました。ホームページにも顔は出さず、タレント活動をしていることは内緒にしていたのでバレることもありませんでした。家に満足なお金を入れて、自分にもお金が使えるようになって、天職だって思いました」  なんと、彼女は初月から100万円以上稼ぐ売れっ子デリ嬢となる。デリヘルでバイトをし、自分に投資をしながら芸能活動を続けていると、タレントの仕事も徐々に増えつつあったが、「就職して普通の女のコになる」という理由で引退してしまう。 「あまりにお金が稼げるから、タレント活動するのがバカバカしくなっちゃったんです。それより、画像とか見つかってお客さんにタレントなことがバレるほうがリスキーだなって。店はもちろん、家族やファンに知られるといろいろ面倒だろうし。でも、『タレントより風俗のほうが儲かるんで辞めます』なんて口が裂けてもいえないじゃないですか。だから、普通の会社に就職するって理由で引退しましたけど、風俗でもっと稼ぐことに魅力を感じてしまったんです」 悩む女性 ――“現役グラドル兼ライター”である筆者も今までに2度引退している身だ。1度目は自分の本意ではない着エロアイドルをさせられ、もうこれ以上は脱げないなってところで仕方なく辞めた。2度目は清純派をやってみたがまったく売れず、「親に内緒で芸能活動をしていたが、バレてしまったから」という理由を“建前”に引退した。  実際のところ、結婚や海外留学などのポジティブな理由でない限り、本当の引退理由は語りたくても語ることは難しい。建前の引退理由を用意しなければいけない背景として、所属していた事務所からの牽制や、応援してくれていたファンに対しての気遣いもあるだろう。だが、昨今のSNSの普及によって、自由に発言することが可能となった。今後は、“本当の引退理由”を知る機会も増えていくだろう。<取材・文/吉沢さりぃ>
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。『bizSPA!フレッシュ』『BLOGOS』などでも執筆。X(旧Twitter):@sally_y0720
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