仕事

会社に嫌われる50代のシビアな現実。評価も給与も下がる一方で…

追い出したい企業判断にもどこか楽観的心理の50代

 会社側から過酷な現実を突きつけられるなか、50代社員は残りのサラリーマン人生をどのように乗り切ろうと考えているのか? Q5.このまま今の会社で定年・再雇用まで働けると思いますか? ・定年までは働ける 184人 ・定年以降も再雇用で働き続ける 138人 ・転職先が見つかり次第、会社を移りたい 67人 ・毎日、今すぐにでも会社を辞めたいと思う 53人 ・早期退職して起業・独立したい 39人 ・降格、左遷など退職に追い込まれそう 11人 ・定年前にリストラされると思う 8人  Q5の回答を見ると、「定年までは働ける」(184人)、「定年以降も再雇用で働き続ける」(138人)と、6割以上が今の会社に残れると楽観視している。この状態を堀氏は「非常に危険」と警鐘を鳴らす。 「危機的状況にさらされると、都合の悪い状況や情報を過小評価しようとする心理=正常性バイアスが働く。その意味で、冷遇された50代の心理状態は、台風や津波で、わざと余裕のある行動を取って逃げ遅れる人と似ています」  一方、人材育成を支援するFeelWorks代表の前川孝雄氏は50代を取り巻く社会的背景から次のように分析。 「日本企業特有の出る杭は打たれる“個”を許さない文化を叩き込まれていると、忍耐力だけは磨かれます。50代社員は、いまだ終身雇用を期待していることもあり、職場でメンタルやプライドをボロボロに砕かれても、耐え忍ぶことができるのです」  だが、こうした“忍”の一字は、今の時代には諸刃の剣でもある。 「多くの50代にとって、ロールモデルは直属の上司だった60代。上目遣いで上司の機嫌を窺う『ヒラメ社員』たちは、当然自分も彼らと同じように定年まで逃げ切れると考えて耐え忍ぶ。しかし、現実はリストラが再燃しており、その願望は、もはやファンタジーでしかないのです」(溝上氏)  会社の手のひら返しに合ってから目が覚めても、時すでに遅し。 逃げ切れない50代の末路Q6.会社員人生の後悔は何ですか? (当てはまるもの3つまで回答) ・入る会社を間違えた 126人 ・転職しておけばよかった 120人 ・スキルアップに励んでおけばよかった 114人 ・もっと家族との時間を大切にすべきだった 71人 ・周囲が無能で理解されなかった 68人 ・上司が嫌いでも我慢すべきだった 60人 ・趣味に生きていればよかった 53人  Q6で「入る会社を間違えた」(126人)、「周囲が無能で理解されなかった」(68人)とあるように、“自分は悪くない”と開き直っているようでは救いようがない。 「会社が何でも面倒を見てくれる“ファミリー”だと勘違いしてきた結果です。これはいまだ根強い日本企業の悪弊。50代はもとより、今の40代も依然として会社への帰属意識が強く、10年後もグチばかりを吐く無責任な50代が再生産される可能性があります」(堀氏)  会社は都合が悪くなれば、いとも簡単に“ファミリーの原理”から“ビジネスの原理”へと切り替わる。だからこそ、転職先の確保やスキルアップで万が一に備えるべしと声高に叫ばれるのだが、多くの50代は切り捨てられる当事者となるまで重要性に気がつかない。 「しかも今後は、高年齢者雇用安定法の改正で70歳まで雇うことが義務づけられる。経営判断として50代のうちに追い出そうとするのが自然な流れで、後悔する暇さえなくなるでしょうね」(溝上氏)  気づいたときには崖の下へと垂直落下だ。 <取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/エコンテ アイブリッジ>
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