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英語ができなくても世界一周はできる。車椅子とサラリーマンの旅人たち<乙武洋匡×東松寛文対談 第4回>

戦場やスラムでも通用する「笑顔」

東松:「笑顔は大事ですよね。知り合いに旅の達人がいて、僕が危ない目に合わない理由がわかるって言うんです。『何でだと思う?』と聞かれてわからないと言ったら、『笑顔だよ』と。戦場カメラマンが何で写真を撮れるかといったら、あの笑顔で戦場にいると敵だと見なされない。だからいい写真が撮れる。  たしかに笑顔でいると仲良くなるか、こんな笑顔の人から何か奪おうとはあんまり思わないじゃないですか。だからか、危ない目に遭わないし楽しめる。ただ、『女性は旅先で笑顔でいすぎると好きだと勘違いされるから気をつけろ』とも言われましたけど」 乙武:「インドのコルカタでスラムのようなところに行ったんです。今でも忘れられないけど、指定した地点まで行ったら、『お前ここで降りんの?』と地元のドライバーがやべえって顔するぐらい。  たしかに歩き出したら雰囲気が違ったけど、ビビったら終わりだなと思って笑顔で『ナマステ~』って言ってたら、むこうの人たちも『お、おう』って感じで。乗り切りました!」

障がい者として旅して感じたこと

東松:「初めての旅はハマりました?」 乙武:「当時は電動車椅子を国際線に載せるハードルが高かったので、海外に行くってことに『エイや!』って気持ちが必要だった。この7、8年かな、航空会社が電動車椅子の取り扱いに慣れたのか、格段に旅しやすくなりましたね」 東松:「いろんなところに行って、車椅子的に過ごしやすかったのは?」 乙武:「海外だと欧米の劇場とかスタジアムとかで感じますね。アメリカはADA法(障がいを持つアメリカ人法)が‘90年にできて、車椅子だから店には入れないとか耳が聞こえないから接客を受けられないというのが法律で認められていない。そこは進んでいますよね」 東松:「これまで行ったなかでベストな国は?」 乙武:「障がい者という文脈でいうとフィンランド。この体だと、どこに行っても障がい者であることを実感させられる。キリスト教色の強い国だと、路上で友達を待っているだけで物乞いだと思われて、お金が置かれるんです。逆に東南アジアに行くと地雷で手足吹っ飛ばされてる人も多いので、僕の体はそんなに珍しくない。でも電動車椅子が珍しいので、『これはトヨタ? それともソニー?』と寄ってくる。  フィンランドに限らず、北欧はいい意味で目立たない。本当に障がい関係なく、いち個人としてそこにいさせてもらえる。とはいえ、困ったことがあったら声かければ手伝ってくれる。さすが福祉国家だなと」
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海外に行くことで気づく日本のよさ
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ただいま、日本

日本を飛び出した乙武洋匡が、電動車椅子で海外移住も視野に入れた世界一周の旅へ!


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