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なぜ食べログは嫌われるのか? 飲食店で実名で批判する実情

飲食店側の問題は深刻

 次いで飲食店側。お金が絡むゆえに問題は深刻だ。 「知らないうちに店舗情報を掲載されるうえ、評価基準が不透明かつ点数算出のアルゴリズム変更の告知が不十分となれば、飲食店側が食べログにいい印象を持つはずがありません。当然、問題が起きれば『広告料によって店の評価に優劣をつけているのでは』という疑念は必ず発生します。  このように食べログが飲食店や利用者から疑惑や不満を持たれやすい根本的な原因は、口コミサイトを名乗りながら、一方で飲食店に広告を売るという矛盾したビジネスモデルにあります。’16年にも『点数が意図的に操作されている』といった食べログへの疑惑がSNSで炎上しましたが、今回も同じ理由。食べログ側が過去から学ばず、脇の甘さを露呈したとも言えます」 食べログ フードジャーナリストのはんつ遠藤氏も企業姿勢を問題視する。 「ユーザーの誤った情報の修正を依頼しても、食べログ本部が応じないケースは多い。かつて『事実と反する内容を投稿された』として店が店舗情報の削除依頼をしても、食べログは拒否。最高裁まで争ったこともあるほど(最高裁は店側の上告を棄却)。こうした不誠実な姿勢にオーナーや店主は怒りを覚えています」  広告代理店の存在、これも食べログが炎上する火種の一つだ。 「食べログでは、レビューの本数や閲覧者数などによって投稿者の点数の影響度が変わるようになっています。そこで、影響力の強いレビュアーに飲食店で飲み食いさせて高評価のレビューを書かせる。そして店側からお金を受け取るといったビジネスをする企業や代理店が後を絶ちません」(はんつ氏)
フードジャーナリスト・はんつ遠藤氏

フードジャーナリスト・はんつ遠藤氏

 大手グルメサイトの社員は、知人の飲食店オーナーに頼まれ、食べログの営業現場に同席したときのことをこう振り返る。 「売り上げが伸びない場合の返金保証や、『他のグルメサイトとの違約金を負担するので食べログに乗り換えてほしい』といった強引な営業には驚きました。身勝手な営業に嫌気が差している飲食店は多く、オーナーからクレームを言われることもあるので困っています」  ビジネスモデルに問題のある食べログだが、掲載店舗数や総口コミ数は魅力だし、使い勝手も良い。点数や口コミの答え合わせをする食べログ信者にならず、心が震える“食”との出合いを楽しみたい。 【ファイナンシャルプランナー・中嶋よしふみ氏】 シェアーズカフェ代表取締役。Webサイト「シェアーズ・カフェオンライン」編集長。著書に『住宅ローンしあわせな借り方、返し方』(日経BP社)など 【フードジャーナリスト・はんつ遠藤氏】 これまでの取材件数は8000店超。ご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長。著書に『東京 やきとり革命!』(ポプラ社)など 取材・文・撮影/谷口伸仁 ※週刊SPA!10月29日発売号より
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週刊SPA!11/5・12合併号(10/29発売)

表紙の人/ 福山雅治

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