見飽きたアウディの小さな顔の変化に中高年カーマニアのココロはメロメロ!
ところが、それをブレイクスルーするモデルが現れた。新型A1である。この顔を見てけろや! 他のモデルとは明らかに違うっぺ!
どこが違うかって? わかんねえのかよオメエ! ほれ、口の上に鼻の穴が3つ並んでるだろ! 他のアウディにはこれねえべ? 一発で見分けつくだろがい!
担当K:どこの方言のつもりです?
オレ:もちろん津軽。
担当K:全然違いますよ。どっちかっていうと茨城じゃないですか?
まあええべ、津軽弁でも茨城弁でも。とにかく新型A1の顔は見分けがつく! しかもカッコいい! 鼻の穴が3つついただけでイメージがガラッと違う! やんちゃで愛嬌があって、それでいて素直で一本気なスポーツマンっぽい顔になったじゃないかあ!
この3つの鼻の穴は、’80年代に世界のラリーシーンを席捲したアウディ・スポーツクワトロのオマージュだという。確かに当時のスポーツクワトロには、ボンネットに3つのスリットが並んでいた。つまりこの鼻の穴は、空気をいっぱい吸い込んでいっぱいパワーを出すぞ!と予感させるアイコンなのだ。
同時に我々カーマニアは、このA1のデザインに、ラリーにおいてスポーツクワトロの最大のライバルだったマシンのイメージをも投影してしまっていた。
その名は、栄光の名車・ランチアデルタインテグラーレ!
穴がいっぱい開いた顔もさることながら、斜めから見たシルエットがよく似てるんだよ! インテグラーレに似てるってだけで中高年カーマニアのココロはもうメロメロ! 新型A1ラブになってしまいました。
「この顔はいいですね。イケメンなのに鼻毛が出ている感じの愛らしさがあって、今のアウディの中では一番好きですよ!」(担当K)
オレも一番好き! というか欲しいでちゅ! 走りも乗り心地もとってもいいし、お値段も1500ccターボの上級モデルで300万円台後半。来年には1000ccターボを積んだもっと安いグレードも出るみたい! これに乗れば、現代のインテグラーレ気分を満喫できそうでワクワクしちゃう! ランチアじゃなくてアウディだけど!
担当K:ところでこの鼻の穴、実はダミーだって知ってました?
オレ:げっ! ホントだ! ふさがってる……(涙)。
【結論!】
鼻の穴はふさがっているけれど、そんなこたあいい! やっぱりクルマは顔が命! とにかく新型A1はカッコよくて中高年カーマニアの郷愁をそそりまくる! 初恋の人に会って心を鷲掴みされたような気分でちゅ~
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com 1
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