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若者のカラオケ選曲、スナックのオッサン客が喜ぶのは…どれ?

わざわざ部下が歌ってやることも…

 でも、この意見は言われてみればその通りな気がしなくもなくて、わたしは一癖も二癖もあるオッサンというより老人のリクエストに応えて演歌から戦前の唱歌まで歌うけれども、それはオンナだからっていうのもあるし、スナック業務の一環として求められているわけであり、男性同士の上司部下となってくるとまた少し違ってくると思う。  カラオケで盛り上がるタイプのオッサンというのは、そこそこに音楽が好きで、自分の世代の曲というのはたいてい耳馴染みがあり、それ故にマイクを手にしてしまえばなんとなく歌えてしまうタイプの人が多い。つまりは、わざわざ部下が歌ってやることもないのである。  気を遣って歌ったつもりが「なんだよお前、俺も今からその曲歌おうと思ってたのに」なんて光景をちらほら目にすることも実際ある。少し前なら、飲み会で上司のご機嫌を取って盛り上げて出世、なんてこともあったが、アルハラなんて言葉が跋扈している近年は少し様子が違う。  四、五十代の会社員としての中堅~上層を見ても、酒を飲む人種と飲まない人種にきっかり分かれており、酒を飲まない真面目な人種は飲み会のカラオケ程度で人を評価しないし、酒を飲みまくる人種は部下のカラオケなんか聞いちゃいない。  全体が酒を飲む体育会気質の会社員たちともなると、恭しく上司にマイクを差し出すどころか上司とマイクの取り合いを始めるし、飲まない吸わない体質の会社員たちはそろいも揃って一切歌わない。極端だ。  そんで、飲みまくり体質で、部下も結構飲むし歌もうたうアンケートするのにうってつけだと思われた、back numberおじさんの極めつけの一言がこちら。 「カラオケになる頃はもうほとんど記憶ないから、歌は何でもいい」  ま、そうだよね。わたしもスナックでカラオケが盛り上がってる時間帯なんていつもたいして覚えてないわ。わかるわかる。楽しければ曲とかなんでもいいよね。だいぶ偏った意見なのかもしれないけど、要はカラオケなんて選曲よりも「楽しそうな雰囲気」が重要なのであって、上司に気を遣ってぎこちなく古い曲を歌うくらいならば、自分の好きな曲を全力で歌ったほうが「なんかあいつ熱唱してるぞ面白れぇな」ってなって、知らない曲でもよくわかんないけど盛り上がるのである。だかがカラオケだ。好きな歌を好きに歌おうよ。
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オッサンに歌ってほしい曲ならあるけれど
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(おおたにゆきな)福島県出身。第三回『幽』怪談実話コンテストにて優秀賞入選。実話怪談を中心にライターとして活動。お酒と夜の街を愛するスナック勤務。時々怖い話を語ったりもする。ツイッターアカウントは @yukina_otani

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