「好きなことを仕事に」を攻撃する人たちに思うこと/鴻上尚史
“好きなことをしている人”が補償を求めると攻撃される根本的な問題とは
自粛要請を受けて中止した公演やライブ、スポーツ大会などに政府がなんらかの補償をして欲しいとツイッターに書いたら、「好きなことをしているんだから、文句を言うな」とさんざん攻撃されました。
普段、好きなことをしているんだから、公演が中止になったりライブが中止になっても当然じゃないか、という意見です。これは、まあ、「自業自得」とか「自己責任」とかのイメージでしょう。
普段、まったく税金を払わないで好きなことをして、自分が大変になったら補償を求める、というのなら、「お前、それはムシが良すぎるんじゃないか」という突っ込みも、まだ分かります。(本当は、この理論を認めてしまうと、「税金を払えない弱者は見殺しにしてもいい」という結論になるので、危険なのです。税金を払えない弱者も救済するのは、いつ自分がそういう状態になるか分からないからです。病気になるのか、交通事故にあうのか、失業するのか、生産者ではなくなった瞬間に、保護される資格を失うのであれば、この社会は安心・安全ではなくなり、荒廃していくでしょう)
あるプロダクションの社長さんが、公演の中止が続いて何億という損失を出し、政府に補償を求めた所、「金をたかるんじゃない」「コジキか」とツイッターで突っ込まれ、怒りのあまり、フェイスブックに「我が社は10年以上、毎年、10億円程度の税金を払い続けている。私に文句を言っている人はいくら税金を払っているのか」と書いていました。
今の政府に反対していようが賛成していようが、税金は払います。逆に、「自民党政権には反対しているから税金は払わない」なんてことが認められたら、国家のシステムが崩壊するわけです。
なので、「好きなことをしているんだから文句を言うな」は本当は「好きなことをしていて、税金をちゃんと払っていても、文句を言うな」ということなのです。
好きなことをしている人とそうでない人との大きな溝
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