怪奇現象はなかったが…

「彼女ができたからです。一応、供養的な意味で部屋の隅に盛り塩をした皿を置いていたのですが遊びに来た彼女に聞かれ、前に住んでいた人が亡くなったからだと正直に伝えました。そしたら怖がってしまいウチに来なくなっちゃったんです。彼女は実家暮らしだから2人でゆっくり過ごせなくなるのが嫌で、それで部屋を出ることにしたんです」
不動産屋に退去する旨を告げた際、事故物件であることを知ったと告げると態度は一変。同じ大家が所有している近くの別のアパートを勧められ、そこに移り住むことになったという。
「何も言わずに入居させた後ろめたさがあったんでしょうね。次の部屋も5000円だけですが本来の家賃より安くしてくれました。ただ、事故物件ならそれよりさらに1万円以上安かったからちょっと惜しいことをしたなとは思いましたけど(笑)」
孤独死は大きな社会問題となっており、事故物件は今や珍しいものではない。それでもいくらリフォームされているからといはいえ、何の抵抗もなく住めるという人は決して多くないはず。やはり安い物件にはそれなりの理由があるのだ。<取材・文/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。