’18年に発表された三菱総合研究所「内外経済の中長期展望」では、日本の人材を「ルーティン(定型的なタスク)⇔ノンルーティン(創造的なタスク)」と「マニュアル(手仕事的タスク)⇔コグニティブ(分析的タスク)」に分類。’20年代後半以降、AIやロボット、グローバル競争の侵食で、ノンルーティン型以外は減少すると発表
コロナでなくなる職種ランキング
コロナの影響でなくなる職業は何か。加谷氏、溝上氏の見解と社会情勢を基にSPA!編集部が独自のランキングを作った!
1位 車内販売員&客室乗務員
業績悪化や対人サービスの減少で人員整理が進みそうだ。「LCCなどをはじめ、そもそも乗り物はコストカットが進んでいて、これ以上下げられないというところまできた。そんな状態を考えると車内や機内のサービスはほぼ必要なくなると思います」(加谷氏)
2位 個人営業
いわゆる「足で稼ぐ営業」文化は消え、データ分析を用いた営業支援システムが主流に。「以前は営業では経験や勘が重要視されましたが、データ分析によって割り出された、確度の高い営業先を当たったほうが効率も良い。生産性も上がるはずです」(加谷氏)
3位 金融保険業事務
社内ルールや法規制が多い金融業は、どうしてもルーティンになりがちなので、RPA(Robotic Process Automation)に代替される流れに。「この動きを受け、多くの金融系企業で一般事務職を別の専門職に異動させるという流れが生まれつつあります」(溝上氏)
4位 経理
クラウド型の経理システムなどの普及が進めば、人員削減される可能性が高い経理職。「日本はもともと管理部門が多すぎる。IT技術が今後ますます進めば、経理のみならず、人事、総務などの管理部門でも、同様に人員整理が進んでいくはずです」(加谷氏)
5位 パラリーガル
弁護士事務所などに勤務するパラリーガルも、法律業務管理ツールの浸透によって、仕事が激減する可能性も。「コロナ前は事務所にいればお茶出しなどの雑用を兼務することもありましたが、対面の顧客相談が減る以上、ニーズも下がりそうです」(加谷氏)
6位 アパレル販売員
対面接客となるアパレル販売員。外出自粛が進めば、洋服の需要も減っていく。「コロナでECの需要が増えたため、店舗スタッフはますます不要に。洋服だけでなく、化粧品や雑貨小物販売店でも同様に、接客要員は減っていくでしょう」(加谷氏)
7位 外食接客業
コロナ禍で店舗数の激減に伴い、ウェイトレスをはじめとする外食接客業も下火に。デリバリー需要が伸びているため、宅配員需要はあるかと思いきや「ウーバーイーツのように、宅配業には副業希望者が多数参入するので、競争が今後はより高まるはず」(溝上氏)
8位 ホテル従業員
Go Toトラベルなどの施策は取られつつも、回復の目途はいまだ立たない観光業。ホテルや旅館のみならず、「ビジネス需要にしても、今後はリモートワークで出張自体が減るはず」(加谷氏)との意見があるため、ビジネスホテルの接客要員も減少する可能性も
9位 仲介業
旅行代理店のみならず、商社や広告代理店も危機感はぬぐえない。「グローバル展開が難しくなる以上、鉄鋼やエネルギー資源関係の仲介を扱う商社の雲行きが怪しくなる」(溝上氏)、「広告も各社が厳選するため、広告代理店の業績も厳しくなるかも」(加谷氏)
10位 医療補助
コロナでその必要性が再認識された医療従事者。「みずほ証券が発表したデータでは、なくなる可能性が高い職種として医療補助がトップに挙がっていました。医師や看護師、検査技師などに比べて、仕事内容が自動化しやすいことが一番の要因です」(溝上氏)
【加谷珪一氏】
経済評論家。中央省庁や政府系金融機関へのコンサルティング業務に従事。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎)、『日本はもはや「後進国」』(秀和システム)など多数。
【溝上憲文氏】
人事ジャーナリスト。経済誌記者を経て、経営、人事、賃金などをテーマに多数執筆。著書に『非情の常時リストラ』(文藝春秋)、『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)など。
<取材・文/週刊SPA!編集部>