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タクシー強盗の恐怖におびえるドライバーたち。無防備な背中を晒してます

タクシー

写真はイメージです

赤く点滅したらSOSのサイン

 タクシー強盗をはじめ、車内でいろいろな事件が発生する。よくあるのが、酔っ払いによる暴行や無賃乗車、いわゆる乗り逃げである。  タクシーの車内は、犯罪しやすい状況が揃っている。密室、無防備、そして誰にも知られることなく実行できる。車内の装備がしっかりと防犯対策をしていない以上、犯罪を未然に防ぐことしかない。そうなるとドライバーは、直観を頼らざるを得なくなる。もちろん、やってはいけない行為であるが、「気付かなかったふり」や「直前に回送」をしたりとすることもある。しかし、そんな当てにならない直観もあたるはずもない。  車内で事件が起こったとしても外から車内の様子は伺えないしわからない。車は走っているのだから当たり前のことであるが、では、万が一の時にタクシードライバーはどうやって助けを求めるのか。それは、「行灯を赤点滅させる」ことである。  ほとんどのタクシーには行灯が付いている。行灯とは、車体の天井にある球体や四角、提灯の形をしたものをさし、会社名や無線番号が記してある。その行灯は夜になると明かりを灯すが、緊急時に赤く点滅する。

SOSサインの認知が最大の防犯

 因みに行灯は、空車時は明かりを灯し、実車や回送の時は、明かりが消える。夜間など空車のタクシーを探している場合など手掛かりとなる(千葉県など東京以外の所属するタクシーは、空車でも実車でも行灯の灯りが付いているタクシーがある)。  また、会社や車種によっては、スーパーサインにも「SOS」や「助けて」、「緊急」の文字が掲示されるタクシーもある。これは路線バスも同じ方式だ。補足だが、スーパーサインとは「空車」や「回送」、「迎車」など表示される電光版のことをいう。  万が一、タクシーの行灯が赤点滅になっているかスーパーサインがSOSになっている車両を発見したら、タクシードライバーからのSOSサインであるので、躊躇せずに110番通報をしてもらいたい。 「あのタクシー珍しいね。天井の明かりが赤く点滅している」 と、やり過ごされることが減ることを祈るばかりである。世間にタクシードライバーのSOSを周知してもらうことが、最大の防犯対策である。
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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