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「失業と孤独がアルコール依存症の扉に」医師が警鐘

お酒を飲んで忘れようとした

失恋 もともとお酒が好きだったという宮沢さんだが、失恋を契機にみるみる飲酒量が増えていったという。 「彼の歯ブラシとか部屋着も捨てれないままだった。幸せな日々を思い出してしまうので、家に帰るのがしんどくなって。毎日仕事の帰りは同僚を捕まえて居酒屋に行って、そのあとは一人でバーをハシゴして……。当時は、記憶を飛ばして気づいたら朝だった、みたいな生活が続いていました」  そんなルーティンは、だんだん仕事にも悪影響を及ぼすようになる。 「毎日飲んでいるから、どんどんお酒が強くなるんですよね。ビールから始まって、焼酎にワイン。最終的に日本酒まで飲まないと気が済まなくなって。以前は酔いつぶれて寝ていたのに、2か月ぐらい経ったら、今度は眠れなくなっていきました」  当然、会社に行っても以前のように働くことは困難になっていったという。 「この頃はランチでもこっそり2杯は飲んでいたと思います。ずっと頭がボーッとしていました。とにかく1日中だるいし、やる気が起きなかった」  彼女の仕事の成績は右肩下がりになってしまった。そして、“体調不良”を理由に休みがちになった。 「会社を欠勤して、朝から家でお酒を飲み続けていました。会社に行くのもツラかったのですが、ひとりでずっと自宅にいたら、どんどん鬱っぽくなっていきました。眠れない、ご飯も食べたくない、でもシラフでいられないから、お酒を飲んでまた憂鬱になる……その繰り返しでした」

仕事に身が入らずに退職を決意

 結局、会社には居づらくなり、宮沢さんは退職を決意する。 「それから2か月ほど、週1~2日しか出勤しませんでした。有給を消化して休んでいましたが、上司に呼び出されて『いったん休みなさい』『心身共に健康になったら戻ってこい』って。遠回しに“クビ”と言われたようなものですが……」  しばらくは貯金を切り崩しながら生活した。しかし次第に貯金も減っていき、金銭的にも困窮していった。その後は失業保険をもらいつつ、家に引きこもっていたという。  こうして失恋と失業、それに伴う孤独によって、彼女はどん底に陥ってしまった。 「お酒の飲み過ぎで思考停止状態。無職になって誰にも会わなくなると、お風呂や歯磨きすら億劫になりました」
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日常を取り戻すまで
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