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海と山に囲まれた日本一の秘境駅。住民はホームレスの“仙人”一人だけ

誰もいない海、釣りの穴場スポットでもある

 その小幌駅は穴場の釣りスポットとしても知られており、駅前からの山道を200メートルほど下ると海がある。それでも駅のある場所とは高低差が約50メートルあり、かなりの急坂。実際、滑って尻もちをつく人も多く、筆者も何度か転びそうになってしまった。
穴場の釣り場でもある海岸

穴場の釣り場でもある海岸

 海岸は砂浜ではなくゴツゴツとした岩場だが、プライベートビーチのような雰囲気で夏場に海を眺めながらのんびり過ごすにはいいかもしれない。なお、駅からの山道は途中で二手に分かれており、岩屋観音という観音像が祀られている別の海岸に出ることもできる。
岩屋観音

岩屋観音

 駅から歩いて約25分とこちらの海岸のほうが遠いが、ここは駅周辺では唯一の史跡で観光名所。江戸時代前期に全国を巡りながら数多くの仏像を残した仏師・歌人としても活躍した僧、円空が彫った像だと伝えられている。当時は鉄道もなく、なぜわざわざこんな辺鄙なところまで来たのかは気になるところだが、小幌駅まで来たならぜひ立ち寄ってほしい場所だ。

住んでいたのはホームレスの1人だけ?

 そんな小幌駅の周辺には昔から誰も住んでおらず、乗客の乗り降りこそ可能だったがもともと信号場という扱いだった。正式な駅に昇格したのは、国鉄からJRに分社民営化された1987年のこと。昔は賑わっていたのに廃れてしまったというありがちなストーリーもなければ、秘境駅としての歴史も思っていた以上に浅かったわけだ。  しかし、正規の住民ではないが勝手に住み着いていた者はいる。かつて上り線ホームから少し離れた場所にあった小屋にホームレス男性が住み着いており、その風貌などから“仙人”と呼ばれていた。  10数年前に亡くなってしまったが冬場には駅やホームの除雪などを自ら行い、住むことを黙認されていたとも言われている。筆者は会う機会がなかったが、実際に彼との交流を楽しんだ鉄道ファンも多かったようだ。
夏場はスズメバチの脅威もあり、こちらも要注意だ

夏場はスズメバチの脅威もあり、こちらも要注意だ

 小幌駅に駅舎や待合室はなく、極寒の冬場は夏場とは比べ物にならないほど過酷。これからの季節にあえて訪れようという物好きはあまりいないと思うが、もし行くなら寒さ対策だけは十分に行っておいたほうがよさそうだ。<TEXT/高島昌俊>
―[シリーズ・駅]―
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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