恋愛・結婚

「女子高生の頃から使い続けて35年」テレクラ主婦の“テレクラ愛”を聞いた

テレクラ歴35年の由美子さん「若い男性とゆっくりおしゃべりをしたい」

由美子さん

テレクラ歴35年の由美子さん(50代・仮名)

 10月某日。テレクラで知り合った50代前半の由美子(仮名)さんに会うため埼玉県郊外の駅へ向かった。紺のジーパンとジャケットを着て待ち合わせ場所に現れた由美子さんは声を弾ませ、少し恥ずかしそうに自己紹介。慣れた様子でこの後に行きたい場所を案内してくれた。  由美子さんがよく訪れるというカラオケ店で取材を始めた。 「あなたよりも少し年下の息子が2人いるの」と語る由美子さんの表情には一切警戒心がなかった。出会いを求めているというより、「若い男性とゆっくりおしゃべりをしたい」。話し相手が欲しいのだろうと思い、しばらく話に耳を傾けた。  由美子さんのテレクラ歴は35年。初めて使ったのは高校生時代までさかのぼる。学校帰り、公衆電話ボックスに貼られた店のチラシに興味を持った。「周りの友達とさぁ~、好奇心で電話してみたんだよね」。懐かしそうに振り返る顔には自然と笑みがこぼれる。  自他とも認めるほどの「電話魔」。学校でのおしゃべりでは飽き足らず、家でも友達とよく長電話した。話が弾んで2、3時間電話をすることも少なくなく「実家の電話代が、あるときは3万を超えて(笑)。親にはこっぴどく怒られたよね」。  高校卒業後もテレクラを利用し続けた。知り合いの紹介でほどなく夫と出会い、結婚。子ども2人を授かり順風満帆な生活で満たされ、一時は足が遠のいたこともあった。  子育ても一段落し、刺激が欲しくなった。 「私は酒飲みでさ。旦那は付き合ってくれないし、息子と飲むのも面倒だし。若い子と話したくて、今もテレクラに電話を掛けているんだよね」  彼女は、寂しさを紛らわせるため電話を掛けている。  テレクラで知り合った男性とのデート中に財布のお金を抜き取られたり、ホテルに誘われて断ったら見知らぬ土地で車を下ろされたり。怖い思いもしたことはあるが、それでも止められない。テレクラは「無くてもならないもの」(由美子)だから。利用する頻度は減っても、年に2、3人と酒を交わすのが楽しみの一つになっている。

酸いも甘いも知るベテラン「私はやっぱり相手の声を聞ける電話がしっくり来るんだよね」

  由美子さん 由美子さんの話を聞いていると、特段テレクラにこだわる必要はないように思えた。出会い系アプリが今や主流となり、筆者の友人の中にも交際相手をそれで見つける人が珍しくなくなってきた。そんなことを話しても、由美子さんは気乗り薄だった。テレクラへのこだわりが強い印象だ。高校時代から愛用してきたサービスに対する深い思いが感じ取れた。  取材を終えて、20代後半の筆者が今後一切テレクラに通うことはないだろう。20歳以上離れた由美子さんとの価値観に大きなギャップを感じたし、由美子さんが語ったようなテレクラの役割は今やSNSに移行したとも思った。  サービス自体にかつての犯罪の温床になりうるほどの影響力も感じられなかった。由美子さんのように学生時代から親しんできた人たちが止める踏ん切りが付かず、今も利用しているようにも見えた。 「メールやSNSじゃなくて、私はやっぱり相手の声を聞ける電話がしっくり来るんだよね」  そう語る由美子さんに、テレクラがなくなったらどうするかたずねた。酸いも甘いも知るベテランは「趣味がほとんどない私にとっては、究極の暇つぶしだからねぇ。寂しくなるよ」と深くため息をついた。<取材・文・撮影/カイロ連>
新聞記者兼ライター。スター・ウォーズのキャラクターと、冬の必需品「ホッカイロ」をこよなく愛すことから命名。「今」話題になっていることを自分なりに深掘りします。裁判、LGBTや在日コリアンといったマイノリティ、貧困問題などに関心あります。Twitter:@hokkairo_ren
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