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中国系航空会社、輸送量で世界トップに。「安かろう悪かろう」の印象は今

中国系エアラインの台頭は日本人にとって大きなメリット

 では、気になるメリットについて説明していこう。現在、アメリカ、中国のエアラインは共に日本への乗り入れがあるが、これから先さらに増える可能性がある。そしてそれぞれに注目すべきポイントは異なる。  アメリカ系のエアラインは、コロナ禍で発着枠の拡大を行使できていないが、羽田空港の発着枠増加で多くの便数を運航できる権利を得た。デルタ航空は首都圏発着を羽田空港に集約して利便性を高めている。アメリカン航空、ユナイテッド航空、ハワイアン航空の3社は、成田空港便を残しながら羽田空港発着便を増便する予定になっている。アメリカ系エアラインは利便性のメリットをもたらしてくれる。  中国のエアラインは、既に北海道から沖縄までの地方空港に乗り入れている。この先、どのような利便性を享受できるかというと、韓国のエアラインで行われている地方空港からソウル経由で世界へ繫がっていたルートが、同じように地方空港から上海、北京、広州空港などを経由して世界へ、それも「格安」で行けるようになる。中国系のエアラインは運賃が安いというメリットがある。  中国系のエアラインについてよく聞かれる評判と言えば「サービスは今一歩だが運賃が安い」というものである。しかし、それも近年では改善しつつある。最新鋭の航空機材を導入しており、シート間隔などについても他社以上に余裕がある機材もある。  また、機内食を含めた機内サービスも改善してきており、欧米や日本の航空会社に追いつけ追い越せのムードである。特に日本初の機内食の場合、日本の機内食メーカー製造であり、元々質は低くない。また、中国発の便では本格的中華料理が楽しめるなど、イメージアップに躍起になっているのだ。

コロナ収束後のセールで欧州まで3万円を切る!?

 日本から中国経由で行ける欧米やアメリカの都市は多く、実際、2019年の実績では、航空券は欧米の主要都市、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリなどまでのような長距離であってもおよそ3万円台から買えるなどお得感は高かった。中国のエアラインの輸送量が増えることで日本から海外へ行く利便性が高まることは大いに期待できる。  とは言え、コロナ禍で中国のエアラインも国際線はほとんど運航できていない。収束後に復便した場合、集客のために思い切った運賃がでることも予想できる。近い将来、中国系大手3社の乗り入れる新千歳発中国経由ロンドン行きが2万9800円……なんてことも。航空業界の勢力図の変化は、海外をより近いものにしてくれるのかもしれない。<文/北島幸司>
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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