更新日:2021年04月04日 11:51
カーライフ

王者テスラに対して現状は竹ヤリ…それでもEVを国産メーカーがやる理由

マツダのEVに勝ち目はない?

K:なぜこんなことになったんでしょう? 永福:EVに対する本気度の差としか言いようがない。テスラはEVで革命を起こそうとしているが、マツダは真逆で、内燃エンジンの可能性を追求してきた。ただ、欧州での燃費規制に対応するためにEVも出さざるを得なかった。目標販売台数は欧州で年間1万台に過ぎず、去年全世界で50万台売ったテスラの前には、まさに竹ヤリだ。 オートクラブK:勝ち目はありませんか? 永福:もちろんないけど(笑)、一矢報いてはいる。この間乗った中国工場製のモデル3は、信じられないくらい乗り心地が悪かった。まるでサスペンションが動いてないみたいで、新東名を浜松まで往復して本当に疲れたよね。ただ、EVは航続距離や充電速度が命。あの乗り心地は中国製初期ロットゆえの不具合かもしれない。でも、乗り心地に関してはMX-30EVモデルの圧勝だ。あれほど自然な乗り味のEVは他にない。さすがマツダ。新規参入のEVでも、こだわりまくってベストは尽くしている。竹ヤリは竹ヤリでも、いい竹ヤリだよね。

EVを買う人って、なんで買う?

K:モデル3と比較して、マツダのEVを選ぶ人っていますかね? 永福:乗り比べれば、少しはいるだろう。テスラの乗り心地があんなに悪いままならの話だけど。ただ日本では、「どっちもやめてハイブリッドにしよう!」というのが、当面の正解ではある。 オートクラブK:そもそも、EVを買う人って、なんで買うんでしょう? 永福:世界一のEV市場の中国では、EVならナンバー発給規制地域でもナンバーが取れるといった事情がある。昨年その中国に迫った欧州では、補助金などの優遇策に加えて、会社が社員に貸与する「カンパニーカー」の比率が高く、そこでEVが選ばれている傾向が強い。企業は環境に配慮する姿勢を求められていて、そうじゃないと投資先として不適になる。一種の内燃エンジン車迫害があると言ってもいい。
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日産リーフがそれなりに売れていた理由
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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