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「台湾産パイナップルが実は中国産」もデマ。ツイッターの魔力

「台湾産パイナップルが実は中国産」もデマだった

 最近も台湾産パイナップルが実は中国産で、楽天市場で売られているとの情報が流れました。フォロワーの多いアカウントも紹介したためあっという間に拡散されたのですが、晒されたショップは検疫証明までアップして潔白を主張しました。要はデマだったのです。  衝撃的な内容ほど一気に広がっていきます。しかし情報が誤っていた場合、その訂正はたいして拡散しません。商売をやるうえで大損害になる可能性があるので、安易な拡散は本当に注意が必要です。 「社会的証明の原理」でいうと、この連載で何度も例に出していますが、米大統領選挙の不正選挙追及の数多くのデマは、保守系の言論人まで乗っかってしまったことで「社会的証明の原理」が強く働いていました。 「あの人が言っているならそうなんだろう」という具合に本当は個別に調べなければいけないのですが、ツイッターは反射的なSNSなのでそのまま拡散されて、そんな投稿が積み重なり、どんどん考え方が補強されて硬直化していきました。こうなると抜け出すのは容易ではありません。

論点をすり替え、人格否定してくるSNS

 昨年11月から僕のところにもその類いの人がきましたが、やはりツイッターは議論に向いていません。無理ではありませんが、短文だと意見の押し付け合いになりますし、そもそもどこの誰とも知らない人、それもいきなり喧嘩腰や罵倒してくる人とは、わかり合えというほうが無茶です。  そして結局バイデン氏が普通に大統領に就任してしまったので、トランプが逆転すると言っていた人は根本的に論理的な負い目があります。それでも一貫性の原理が働きますから自分の間違いを認められず、突っかかってくるのはいいですが、論理では攻めてきません。論点をすり替えて人格否定などを持ち込んでくるのです。  例えば僕が大統領選について言及すると、そういった情報を流していた人の支持者がやってきていろいろ書いていきます。笑ってしまうのが、唐突に「格」戦争が始まることです。  といってもこちらは格を主張しないので一方的に言われるだけなのですが、「○○さんとお前では格が違う」と論理ではなく格の勝負に持ち込もうとしてきます。  しかし内容ではなく格で決まるなら、ネットなんかより新聞のほうが格が上となってしまうし、そもそも格を持ち出したらまともな議論なんて不可能でしょう。
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ハマりすぎると何も見えなくなってしまう
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動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

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