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平均4.3万円の養育費「7割以上の親が払わない」。保証サービスは根付くのか

養育費の未払いが多い理由

離婚届「子供と面会交流をさせてくれない」「離婚したタイミングで転職して収入が減った」など、養育費が支払われない理由はさまざまのようだが、受け取る側が泣き寝入りする現状では子供の教育や健康への影響も懸念される。 「面会交流もなく離婚後に別の相手ができたりして、親権を持たない方の優先順位が変わっていってしまうこともあります。“去る者は日々に疎し”で、支払う側は限られた収入の中で割り振るわけなので。ただ、基本的な考え方として、養育費は離婚前と同等の生活レベルを子供に与えるというもので、年収500万円ならその収入の家庭の子が必要な費用を払う義務がある。収入ゼロの人はほぼいないので、幾ばくかの金額を払うのが本来の筋です」(桑原氏)  養育費未払い問題の背景には、警察権力や国が民事に介入しないという考え方もあるようだ。 「海外と比べて日本の養育費の受け取り率は非常に低い。北欧や欧州では、国が立て替えたり税金から徴収したりするので受取り率が90%を超える国もある。アメリカは居場所捜索がしやすく税金との相殺も可能。韓国は徴収支援する機関を国で持っていて、受け取り率が改善しました」(勝山氏)  そんな日本でも法務省が設置した「養育費不払い解消に向けた検討会議」が2020年12月、養育費の請求権について、民法に明確に規定すべきなどとする提言をまとめた。

受け取るべきものはきっちりと受け取る

 今後は法整備の動きも本格化していきそうだ。 「受け取るべきものはきっちり受け取る。その訴えかけをしていくべきだと思います。一方で養育費を払わない人も決して経済的にすごく余裕のある方ではない、という傾向も感覚としてはあります。やはり困窮してくると感情的なものも含め、いろんな問題が跳ね返ってくるし、母子家庭や父子家庭の実情に目を向けた国の支援が大切かと。例えば、自動車の自賠責保険に上乗せする任意保険のように、オプション的にこうした保証をご案内する方法もあると思っています」(桑原氏) <取材・文/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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