更新日:2021年04月26日 12:44
エンタメ

3時のヒロイン福田麻貴の「容姿ネタ封印」は、世の中が求めていることなのか

「ブス」「デブ」がアウトなのは当たり前

 番組内で松本人志が冗談めかして、容姿いじりのネタが受けないのは、「3時のヒロインのポテンシャルが低いってこともあるかもしれない」と語った。その場は、笑いに包まれたが、私はあながちそれは否定できないと思った。3時のヒロインのポテンシャルが低いとは思わないが、4月7日に放映された「エンタの神様」(日本テレビ系)で披露した「容姿いじりネタ」は、彼女たちの以前のネタと比べて非常に古臭く見えた。  それは容姿いじりをするからではなく、以前の3時のヒロインは、ゆめっちとかなでが、強烈なキャラを活かして暴れまわり、その無軌道なボケの垂れ流しに、福田が冷静にツッコミの言葉を入れる、霜降り明星やマヂカルラブリーにもみられる、トレンドの漫才スタイルだった。しかし、「容姿いじりネタ」はゆめっちとかなでが「福田がブスだ」と言葉で冷静に突っ込むスタイルで、それが2人の個性を殺していて、なんだか古臭く見えた。
 そのツッコミの言葉も「2年ぬか床に漬けたあいみょんみたいな顔をしてる」「リトグリに書類審査で落ちたみたいな顔をしてる」など、例えがなんだかよくわからない。ウィットの利いたツッコミが、容姿いじりのキモであり、ここがつまらなければ全て台無しになってしまう。そもそも「あいみょん」とか「リトグリ」とか固有名詞に頼りすぎで、安易に感じる。  さらに、文頭に書いたように、福田は「ブスとかデブ」とか直截的な言葉は完全にアウトだと言っていたが、そんなの当たり前じゃないか? 直截的な言葉を使わずに、それを表現するのが芸なのでは? くるよ師匠がいくよ師匠に「ブス」とか「デブ」とか言うだろうか?

そもそも「容姿いじり」は難易度が高い

 福田麻貴を「ブス」と言っていじることは、バラエティー番組の中で生まれたノリだったのではないだろうか? それをステージ上のネタにフィードバックしたのが、福田が封印を宣言した、3時のヒロインの「容姿いじりネタ」だったのではないか? バラエティー番組の中だったら「ブス」という、どぎつい日常語が笑いになる。その悪趣味がフォーマットとして定着している。しかしそのノリがそのままステージで通用するとは思えない。  また、「容姿いじり」は、一人称のネタである。言うなれば「私小説・随筆」的である。そもそもがこの難易度が高いのだ。「お前の個人生活の話なんか聞きたくないよ」と人は思うからだ。私も含め売文業の者はアマタいるが、随筆で売文できる人は、ほんの一握りだ。しかし、テレビタレントではなく漫才師として残る人たちの多くはこの「私小説・随筆」スタイルなのだ。「今いくよ・くるよ」「横山やすし・西川きよし」「中田カウス・ボタン」「宮川大助・花子」。自分自身が漫画の登場人物にならなければ、このスタイルは成立しない。一朝一夕には成り立たないスタイルなのだと思う。時には重大な事件を起こして、自らネタを作る必要もあるかも(笑)。  古い名前ばかり並べてしまったが、もしブラックマヨネーズがテレビタレントの道に行かなければ、劇場で「ハゲ」「ブツブツ」とののしり合う、めちゃくちゃ面白い漫才を完成させたんじゃないかと想像している。
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若者は本当に「容姿いじり」を受け付けないのか?
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』、週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』などを担当。近著は『オールナイトロング -私にとっての電気グルーヴのオールナイトニッポンとその時代』。Xアカウント @mo_shiina

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