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「第2の酒鬼薔薇聖斗」はなぜ野放しにされたのか?少年院を満期出所も繰り返された悲劇

当時の司法判断は正しかったのか?

少年法

2019年に4人が殺傷された事件の現場 写真/朝日新聞社

 果たして、当時の司法判断は正しかったのか? 「岡庭容疑者はゲミュートローゼ(情性欠如者)である可能性が高いと思います。これは精神病質人格の一種で、思いやりや良心を持たず、反省も後悔もしない。だから、人を殺しても罪悪感を覚えない。10年前の通り魔事件の裁判ではニヤニヤして反省の色が見えないと報じられましたが、ある意味、当然です。医療少年院で治療を受けてはいますが、更生は極めて難しい。  彼は’18年に医療少年院を満期出所し、’19年に茨城一家殺傷事件を起こしているので、医療少年院で治療にあたった精神科医を批判する向きもあるようです。しかし、満期出所なので、少なくとも早めに野に放ったわけではない。しかも担当した精神科医が治療困難と感じていても、現行法では規定以上に長く少年院に留め置くことはできません」

「また起こすだろう」繰り返される悲劇

 神戸連続児童殺傷事件、光市母子殺害事件をはじめ、少年による数々の凶悪事件を取材し、ルポルタージュを刊行してきたジャーナリストの門田隆将氏は「またも起きてしまった」と悔しさをにじませる。 「快楽殺人者たちは他人の痛みに対して、共感性を持たず、生きものに憐憫の情を抱くということがないモンスターです。岡庭もそう。周りの誰もが『また事件を起こすだろう』と思っているのに少年法によって止められない。どうして裁判では医療少年院の期間を5年程度と決めたのか、裁判官は遺族にきちんと説明するべきです」  来春、民法改正によって成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられる。それに伴い、少年法改正の議論も今国会で大詰めを迎えているが、改正案では18~19歳を「特定少年」に位置付け、少年法の保護対象のまま。ただ一部の犯罪については、これまでは原則匿名だった実名報道が起訴後は解禁される。 「そもそも山口二矢(’60年に日本社会党浅沼稲次郎委員長を殺害)や永山則夫(’68年に4人を連続射殺)の名前や顔を知っている人はいるのではないでしょうか? それは新聞やテレビが報じたからです。彼らは犯行時に17歳と19歳で未成年でした。  実名や写真を禁止する少年法61条ばかりが取り上げられますが、少年法1条には、少年法の目的は『非行のある少年に対して』特別の措置を講じること、とある。つまりカッとなり、殴り合って殺してしまったなどの殺人ならまだ非行の延長ですが、最初から殺意を抱いて人を殺すことは非行とはまったく違います。少年法の適用範囲をその段階で超えているわけです。だから凶悪事件の少年は実名で報じられていたのです」
少年法

18~19歳を新たに「特定少年」と規定。検察官に送られ、刑事裁判を受ける対象は強盗、強制性交、放火などに広げられる。また特定少年は起訴時点で実名報道が可能となり、社会復帰の妨げになるとの指摘も聞かれる

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「犯人には“犯罪者にならない権利”もある」
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表紙の人/ 日向坂46

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