仕事

中退や転職など「焦り」が理由の場合は失敗する

人間関係を特定する

 このように心は人間関係でできています。しかし、私たちはこうした人間関係の影響を見落としがちです。その結果、心に浮かんでくる思考と感情をコントロールできず、「◯◯しないといけない」という極端な発想に陥って苦しみます。そして、そこから抜け出す手段は「自分は誰のことを気にしているのか?」という問いかけであり、その手伝いをするのが人生相談です。 「アーティストとデザイナーに引け目を感じているから、自分は頑張らないといけないと焦っている」と説明したところ響くところがあり、この相談者の「大学院を中退する」という発想は収まりました。その後、彼は一般の会社に就職し、プライベートではファッションに関する活動も続けています。  この相談者がアーティストやデザイナーと知り合ったきっかけは、彼自身が作った雑誌でした。その雑誌の出来映えに共感したからこそ、アーティストは一緒に洋服を作ろうと提案し、デザイナーは雑誌作りに協力すると申し出ました。  つまり、この相談者は相手に認められており、劣等感を覚える必要はまったくないということです。にもかかわらず本人は「こんなすごい人たちに手伝ってもらって、自分には返せるものがない」とプレッシャーを感じていたのです。

自分が誰のことを気にしているのか?

「自分の苦手分野であえて張り合って、相手に幻想を抱き、自分に劣等感を覚える」というのは、人間が持つ厄介な習性の一つです。そして、その習性がもたらす苦しみから抜け出すためには、「自分が誰のことを気にしているのか?」を問いかけ、影響を受けている人間関係を特定する必要があります。  もし仕事や働き方について、「◯◯しないといけない」という過剰な切迫感に苦しめられているなら、この問いかけを自分に投げかけてみてください。安心を取り戻す一歩になるはずです。 佐々木
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