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有名建築家のビル、公共施設「使い勝手は最悪」。アート先行の問題点とは

アートの島と呼ばれる直島では……

 この福武ホールは、ベネッセホールディンクス名誉顧問の福武總一郎氏の個人寄付で建設されたもの。福武氏はアート活動に多額の資金を投じた人物として知られ、瀬戸内海に浮かぶ離島・直島(香川県)はリゾートホテルを備えた美術館・ベネッセハウスを持ち世界から人が訪れるアートの島として知られている。  しかし、その風聞はあくまで一面的なものだ。数年前に筆者が島を訪問した際に地元の人がことさらに悪罵を投げつけていたのが、フェリーターミナル「海の駅 なおしま」だ。  ガイドブックや旅行系サイトを観ればデザイン性の高さやアートの島の玄関口としての称賛が並ぶ建物は、妹島和世氏と西沢立衛氏の建築家ユニット・SANAAによるもの。安藤的な一枚屋根と全面ガラス貼りが特徴的な建物だ。島の人々が批判するのは、ガラス貼りだ。 「観光だけでなく普段は地元の人が使う公共施設だから、住民向けのお知らせなんかを掲示する施設でもあるわけでしょう。ところが見栄えを気にしてガラスのところにはポスターを貼ってはいけないことになってるんです。ついたてを利用して掲示をしたりはしてますが、面倒です。書類や道具をしまっている段ボールを隠すのも大変ですし、丸見えには何年経っても慣れませんよ」  アート性を重視しすぎた結果、日常に不便を来す典型例といえる建物だ。

国立競技場は欠陥だらけ!?

国立競技場

時間帯によっては屋根の影がグラウンドにかかり、プレーをする選手たちからも「ボールが見にくくなる」と不評。観客席の狭さや場所によってはグラウンドを見ることができない席があるなど、不備を指摘されることも

 安藤氏と並ぶ現代建築の巨匠として知られる隈研吾氏も木材を内にも外にも並べるデザインが評価される一方で、最近は頻繁なメンテナンスが欠かせないことが指摘されるようになってきている。 「杜のスタジアム」をテーマとして掲げて設計した新国立競技場は、既に様々な意見に晒されているが、もしこのまま五輪が開幕したとしたらどんな結果をもたらすのか。
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アートな図書館の蔵書が悲惨な状況に
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ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』

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