戦極は KOKから脱退し、日本一を目指す
MC正社員
――戦極 MCBATTLEは2020年大会をもってKOK協力大会から脱退を表明しています。何が理由だったのでしょうか。
正社員:「それも自分のわがままなんですよね。やっぱり『
自分が日本一の大会をやりたい』という思いがあったし、だからこそKOKを越えたいというエゴも強くなっていきました」
漢:「脱退については、とりあえず言っちゃうことで自分のケツ叩いたんでしょ?」
正社員:「そうですね。でも僕は正直、たとえば
日本武道館で戦極の大会を開催できても、MCバトルの世界で1位になれないと思うんですよ。キャラ的に。1位になれるとしたら、それは僕が辞めるという選択をしたときで」
漢:「その哲学、意味がわからない(笑)。
何なのそのカッコつけ」
正社員:「僕が死んだら1位になります。それくらいやらないとキャラ的に1位にはなれない(笑)」
漢:「『
1位になったときには死ぬときです』とかじゃなくて、死んだら1位になるの?」
正社員:「
R-指定を大会に呼んで、賞金1000万の大会を日本武道館で開催して、それで僕が死んだら1位です。それぐらいやらないと1位になれないと思います」
漢:「でも、死んだあと塗り替えられちゃうよ? それでも『
自分の中で1位』で最後は終わりたいんだね」
正社員:「その瞬間は1位ですからね。いつかは乗り越えられますけど……」
漢:「なるほどね。でもそれくらいの意識がないと、人のスキルって向上しないからね。サッカーの日本と韓国の関係だって、日本が経済的に潤ってる時代は、韓国側が『
自分たちが唯一勝てるのはサッカーだ』って死ぬ気で戦ってたわけじゃん。それで実際に勝つことも多かったし、今ではサッカー自体のレベルも高くなってる」
正社員:「僕が唯一勝てるところを探して頑張ってるのと同じですね。ただ、僕がどれだけ頑張ってもMCバトルのシーンは変わっていくし、UMB、KOK、戦極、凱旋、アドレナリン以外の大会でもさらにデカい大会が出てくるべきだとも思います」
正社員:「僕は本当にどの大会もライバルだと思っています。UMBもKOKも、凱旋とかMRJとか、ENTER、罵倒、口喧嘩もメッチャ意識してますから。アリーナ(ぴあアリーナMM)で凱旋のイベントをした
怨念JAPにそう話したら、『
僕はそういうことは考えてないです』とか言ってたので、『
ウソつけこの野郎!』って怒りました(笑)。『
それぞれがの大会がみんな1位だと思いますよ』とか言ってきて、『
何だこいつ? キリストか?』と思ったんですれど(笑)」
漢:「怨念はウソをついてるね。もしくは本当にビジネスのことしか考えていないのか、もしくは逆にシーンのことしか考えていないか」
正社員:「漢さんはほかの大会のことをどう思っているんですか?」
漢:「
ライバルと思って見てるよ。俺らは『
日本一の大会』って謳ってるし、『
俺らが1位じゃないといけない』とも思ってるから」
――この先の戦極に対してはどんなことを期待していますか?
正社員:「ぜひ聞きたいです!」
漢:「大きくなってほしいし、それこそ日本一の大会になるような意識で続けてほしい。こっちが『
戦極デカくなってきたな。ヤバいぞ』と感じるくらいね」
正社員:「漢さんは
戦極の18代目チャンピオンでもありますからね。また戦極に出てくれますか?」
漢:「うん。
出ない」
正社員:「何でですか! 出てくださいよ」
漢:「俺のMCバトルのピークはもう10年前に越えてるし、今は勝っても特に気持ちよくもないからね」
正社員:「でも、ひとつだけ絶対に受けてほしい大会があるんですよ。また詳しく相談させてください」
漢:「わかった。俺も人間だから、
唯一心が動くとしたらカネかもしれないな。やっぱりカネは大事だよ」
<構成/古澤誠一郎>
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く