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サイボウズ社長・青野慶久が語る“当事者”としての夫婦別姓問題

訴訟を起こしたきっかけ

――なぜ、訴訟まで起こしたのか? 青野:作花知志さんという夫婦別姓問題をライフワークにしている弁護士さんとの出会いがきっかけですね。話を聞いて、初めて法的な矛盾があることを知ったんです。  夫婦別姓訴訟では’15年に最高裁判決が出ていますが、このときの争点は男女不平等でした。96%の女性が夫の姓を選択しているのは不平等だと。でも、最高裁は「法律上は男性が変えろとも女性が変えろとも言っていない。 その点で、結果不平等ではあるが、男女平等」という判断でした。  一方、作花弁護士が突いたのは戸籍法上の矛盾。「現行法では日本人と外国人との結婚では姓が選べるのに日本人同士だと選べない。これって平等じゃないよね?」というロジック。法的に不平等な問題を争っているんです。

「家族の絆が失われる」と思う人は、同姓を選択すればいいだけ

――「家族の絆が失われる」と別姓に反対する人もいますが。 青野:そう思う人は、同姓を選択すればいいだけ。僕らが求めているのは、あくまで選択権なんですから。  そもそも、夫婦同姓制度だって家族の絆を奪うことがある。別姓が認められないので、仕方なく事実婚を選択している夫婦も多いんですから。僕も妻と何度も口論になりました。喧嘩のたびに僕が「お前のためにおれは名前を変えたんやで?」と漏らしてしまい……家庭の空気が悪くなってしまう時期があったんです。 ――選択する権利を認めよという訴えは、サイボウズが取り組んできた「働き方改革」にも通じますね。 青野:そうです。仕事はもとより、ライフスタイルに合わせて働く時間も場所も選べるほうが幸福度が高くなるのは当然。そのために「100人100通りの働き方」を実現したいと考えて取り組んできました。 ※6/29発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【YoshihisaAono】 ’71年、愛媛県出身。大阪大学卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、’97年にサイボウズを起業。’05年の社長就任以降、働き方改革に着手。その取り組みが注目を浴びて今や講演などに引っ張りだこ。『わがままがチームを強くする。』などの監修本も 取材・文/西川修一 撮影/尾藤能暢
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週刊SPA!7/6号(6/29発売)

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