ライフ

キャンプブームの正体は、三密回避よりも中年男たちの“物欲リバイバル”

キャンプへの初期衝動は90年代に遡る

朝霧高原のキャンプ場

朝霧高原のキャンプ場

「使うギアはミルスペックに限る」「コヨーテカラーがアツい」「UL(ウルトラライト)思想っていい」「パックラフトも欲しい」「ヨセミテに行ってみたい」……筆者のまわりでも、ちょっとマニアックなこんな声が聞き漏れてきます。  振り返ってみると、私たちロスジェネ世代はこれまでにもアウトドアブームを経験しています。最初の体験は1990年代前半、第一次キャンプブームの頃です。年間のキャンプ人口が1600万人にのぼり、パジェロがバカ売れし、世界のアウトドアブランドが続々と上陸した時代でした。当時はファッションとしてアウトドアを楽しんでいる同世代が多かったと記憶しています。  程なくして第一次キャンプブームは終焉。時を同じくして”着るアウトドア”の時代が幕を開け、パタゴニアやワイルドシングス、グラミチなどが人気を集め、この流れは2000年代に入っても続いていきます。他方、残念というべきか、この時代、日本の景気に左右されるかのように全国のキャンパー数は減少していきます。この頃、前出の『GO OUT』(07年)や「森ガール」「山ガール」をテーマとした女性誌などが創刊され、(当時30代だった)ロスジェネ世代の一部に熱狂的なファンを生んだと記憶しています。マスに受け入れられるという視点でみると、ゼロ年代からの10数年間はキャンプ・アウトドアの低迷期だったのかもしれません。

SNSで可視化されるキャンプ映え

 潮目が変わりはじめたのは2015年頃、再び、キャンプブームの兆しが見えはじめます。その要因のひとつはSNS、なかでもインスタグラムの影響が大きかったかもしれません。純粋にキャンプが好きという人はさておき、事実、キャンプ場はインスタ映えの格好のスポットです。性別・世代を問わず、再びキャンプが受けれられていく背景のひとつにはこんな要因も見え隠れしている気がします。『ヒロシのソロキャンプ』のヒット、人気コミック『ゆるキャン△』のドラマ化など、キャンプがマスに受け入れられていった背景にはさまざまな要因がありそうです。  さておき、仕事から離れ、自然と触れ合うことができるキャンプは一度体験すると、やみつき必至。あともう少しで、本格的なキャンプシーズンの到来です。キャンプ未経験のロスジェネ世代の皆さん、キャンプ場の予約はお早めに。 <文/ディスコ☆セリフ イラスト/押本逹希>
数々の雑誌を渡り歩き、幅広く文筆業に携わるライター・紺谷宏之(discot)と、企業の広告を中心にクリエイティブディレクターとして活動する森川俊(SERIFF)による不惑のライティングユニット。 森川俊 クリエイティブディレクター/プロデューサー、クリエイティブオフィス・SERIFFの共同CEO/ファウンダー。ブランディング、戦略、広告からPRまで、コミュニケーションにまつわるあれこれを生業とする。日々の活動は、seriff.co.jpや、@SERIFF_officialにて。 紺谷宏之 編集者/ライター/多摩ボーイ、クリエイティブファーム・株式会社discot 代表。商業誌を中心に編集・ライターとして活動する傍ら、近年は広告制作にも企画から携わる。今春、&Childrenに特化したクリエイティブラボ・C-labを創設。日々の活動はFacebookにて。
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