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実は全然稼げない「オンラインサロン」…それでもブームが終わらない理由

同じ趣味趣向があるからこそ、目的も達成しやすい

MB氏――現在、MBさんはメンズファッションに興味のある参加者で構成されたオンラインサロンを運営されています。YouTubeやメルマガなどの情報発信にはない、オンラインサロンでしかできないことってなんだと思われますか? MB 自分たちがやりたいことを実現できる点ですね。たとえば、僕のサロンにはいま会員が約1000人いるんです。これだけの人数がいると、メンバーたちがほしいものの意見を出し合って、自分たちが欲しいけど売ってないようなアイテムを自分たちで作って、サロン内で販売することもできる。いわば、“地産地消”ですよね。 山本 へぇ、すごいですね! それは、同じ趣味趣向を持つ仲間たちだからこそ、成立するスキームですね。 MB ニッチすぎるニーズしかなければ、さすがに洋服などを作って販売するとなると、赤字になってしまいますが、1000人いればちゃんと収支の面も成立するんですよ。あと、会員にとっては世界が広がるチャンスもありますね。 ――もし具体的な成功例などがありましたら、ぜひ教えてください。  たとえば、会員さんの中に本業でクラフトビール製造をしている人がいて、その人が「こういうのを作っているんです」と自分の製品を紹介したら、サロン内で人気が出て売れ始めた……なんてこともありました。僕らにとってはいい商品を知れるよい機会だったし、販売者の人にとっては自分のビジネスチャンスが広がるよいきっかけになったのかなと。実際、そのビールを僕はそのまま愛飲するようになって、いまも冷蔵庫にストックが入ってますよ。

サロン運営は「学生時代の部活」と一緒

山本彬央氏山本 1000人も会員さんがいると、運営にもコツがいると思うのですが、MBさんが心がけていることはどんなことですか? MB 僕の場合は、「横のつながり」を大事にしていますね。ファンマーケティングにはいろんな形があると思うのですが、僕は自分のオンラインサロンを「部活」のようなものだと考えているので。 山本 ……部活、ですか?  MB 学生時代って、家と学校の往復の中に部活があって、「家にいても楽しくない」「学校も楽しくない」という子たちが救われていた部分もあると思うんです。僕自身も社会に出たときに、「会社ってどうしてこんなにつまんないんだろう」と思ったとき、「あ、部活がないからだな」と気がついたんです。 山本 なるほど。学生時代のMBさんにとってのサードプレイスだった「部活」を、ファッション好きな社会人に向けてサロンとして運営しているイメージですね。 MB そうですね。だから、僕が前に立って何かするというよりは、「横のつながりで仲間同士が、部活感覚を味わえるような仕組み」を作ることを大事にしています。部活でいえば、顧問がガンガン頑張るより、部活内に求心力のあるリーダーの方が盛り上がる。サロンでも同じで、周囲から慕われている人やおもしろい人に前に出てもらう仕組みを作る感じですね。 山本 コミュニティを自走させるのはかなり難しいですからね。僕もコミュニティを盛り上げるために、リーダーを作ることを意識しています。たとえば、目立つ発言をしてくれる人たちに「支部長」など肩書を持ってもらうと、その人たちを中心に盛り上がりが生まれ、コミュニティを活性化しようと頑張ってくれる。 MB そうですね、たしかに運営側が会員さん同士の交流を重視して、促進していかないと、コミュニティは大きくならないとも思います。
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オンラインサロンは今後、どう進化をしていくのか?
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