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太田光の選挙特番は、二階さんとのやりとりが一番面白かった

芸人と選挙特番の司会者は水と油

 番組中、太田光は意味不明な空笑いを何度かあげていた。自分が置かれている立場に対する違和感をごまかすために、照れ隠しで笑っているように見えた。太田光が徹している芸人としての姿勢と選挙特番の司会者という立場は、水と油のような気がする。
「芸人人語」

太田 光(著)「芸人人語」(朝日新聞出版)

 今回最も問題視されているのは、幹事長として初めて落選した自民党の甘利明に対して「ご愁傷様」と言ったことだろう。しかし、甘利明が「ご愁傷様」ならば、枝野幸男にはなんと言えば良いのだろう? すべての人間に分け隔てなく毒付いてこそトリックスターの面目が保たれるのではないだろうか。

面白かった二階俊博とのやりとり

 ただ、二階俊博とのやりとりなどは、非常に面白かった。私があまり政治家に詳しくないこともあるけれど、二階俊博の素の部分を初めて見た。報道では激怒したと書かれているが、実際は取り乱すことなく余裕たっぷりで、終始同じゆっくりとした口調で、何に対してもきっちりと答弁し、太田の悪口にもきっちりとやり返しており、懐の深さを感じた。また薄くなった髪の毛で、目を剥いて、口を尖らせて話す姿は、東八郎を彷仏とさせ、ユーモラスでなんだか笑ってしまった。これは太田光が引き出した、二階俊博のユーモラスな部分だったと思う。(※1)  まあ、甘利明に対する「ご愁傷様」はさすがにむごいが、有働由紀子「カメラの前には国民がいる」と言う方がよほどむごいしズルい。(※2)  幹事長の進退は、いわば自民党という社内の業務で、1人では決められないと言ってるだけだ。有働は「どうせ辞めるんだからみんなの前で腹を切れ」と言うのだろうか。「国民」を持ち出して、自分は正義をまとって他人を追い詰めるくらいしたたかでなければ、選挙特番の司会なんて務まらないのではないか。自分の投票した政党まで、正々堂々明かす太田光は、この役目を果たすには青すぎるように思えた。 ※1:太田の「人相が悪いんですけど、怒ってますか?」というジョークには「君より、もうちっとマシだよ」と切り返し、続く「良い意味でも悪い意味でも自民党の象徴」という表現にも「悪い意味がどこにあるんだよ」と返答した二階氏。終盤、太田からの「二階さんはいつまで政治家をつづけるつもりですか」という質問には「君が決めることではない」「今日当選したばかりで『いつまで政治やるんですか』なんて失礼だよ!」と憤りを見せるも、太田から「失礼じゃないよ。聞くのは国民の権利じゃん」と応戦されると、「そりゃあ権利であるけど…」とリアクションしたところで時間をむかえた ※2:選挙特番「zero選挙」(日本テレビ系)にて、小栗泉キャスターが自民党の甘利氏に進退について質問。「今あなた方にお話する場ではない。一番最初にお話するのはカメラではなくて総裁に向かってお話するんじゃないですか」という回答に有働アナが「カメラの向こう側には国民がいるわけですが」とツッコんだ
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』、週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』などを担当。近著は『オールナイトロング -私にとっての電気グルーヴのオールナイトニッポンとその時代』。Xアカウント @mo_shiina
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