恋愛・結婚

ケンカをした夫婦の「仲直りセックス」がもたらす禍根とは

「セックスしているから仲が良い」の嘘

 一体、このときに被害者はどれほど傷つけられているでしょうか。  そもそも最初のトラブルで生じた傷つきについてケアをされていません。したくないセックスをするという、家庭内レイプによる傷つきは言うまでもありません。さらにそれ以降、苦しい表情でいることさえ許されません。後からそのことを言えば「いつまでも昔のことを言うな」などと罵られます。  レイプは魂の殺人と言われるほどの傷です。それが家庭の中で起きれば人に話すこともできず、もし話したとしても「そんなもん」「それが普通」「セックスするだけ仲が良い証拠」などと言われた日には、もう誰にも話すまいと思うことでしょう。  自分もいっそ日常に戻った方が楽だとその傷をないものとし、何重にも自分の感情や思考や言動の自由を奪われる苦しみや傷つきは、筆舌に尽くし難いものがあるはずです。  加害者は他者と良い関係を作る能力が低く、人と対話を通してわかりあうことが苦手です。そのため本来であれば「愛し合う関係だからこそセックスをする」という論理を転倒させて「セックスをしたんだから良い関係(仲直り)だ」と考え、それでもう相手を傷つけた経緯も忘れ、日常に戻っていきます。  このような論理の転倒にはさまざまなバリエーションがあります。  例えばみんなが望んでもいないのに、 ・毎日、絶対に家族全員で食事をする ・毎年、旅行を家族全員で行く  といった加害者も少なくありません。セックスと同様、そういう形式的儀礼によって、良い関係だから行うことを「それを行っているから良い関係だ」と論理を転倒させるのです。

形式的儀礼が家族の絆を深めるわけではない

「良い家族になりたい」という思いが背景にあるケースもありますが、その前提として絶対に大事な「家族の気持ち」を無視してしまう。そして家族が喜ばないと不機嫌になる……根本的に間違った考え方です。  家族が本当に喜ぶことが大事なのであって、家族が「喜ばなければならない」と押し付けることは加害です。  自分の頭の中の妄想に付き合わされる被害者からしたら、本当に地獄です。 「家族のために」「良かれと思って」と、振り返って自分の加害経験を語る加害者はとても多いです。  でも、本当にそう思うなら、相手が喜ばなかった時、不満を示した時に「せっかくやっているのに生意気だ!」「喜ばないなら帰れ!」「誰の金でこんな贅沢できてると思ってるんだ」などと言っては決してならないのです。  誰のためにそれをしているのか、胸に手を置いてよく考えてみてください。「仲の良い家族がやること」をすれば仲の良い家族になるのではないのです。セックスをすれば良い関係になる、ということでもありません。  良い関係とは、お互いの傷つきを認め、例え良かれと思ってやったことでも、相手が傷ついたなら謝り、反省して、相手と幸せに生きていくために次から行動を変えられる関係なのです。
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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モラハラ、パワハラ、DV
人間関係は“ことば”で決まる

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