根底にはお笑いファン以外を笑わせたいという思いがある

──スタイリッシュな芝さんと強烈キャラのともしげさんの不思議な組み合わせだと思いましたが、がっちり合っているんですね。
芝:根底にはお笑いファン以外を笑わせたいという思いがあって、ともしげとならそれが叶うんじゃないかと選んだんです。振り返れば、僕は学生時代にバレー部で、とにかくボールを拾いまくるリベロのポジションだった。同じように、ともしげはアメフトでランニングバックという、ただがむしゃらにボールを持って走るだけのポジション。
ともしげ:本当は司令塔のクォーターバックをやりたかったのに。
芝:でも、監督がそう配置したように、僕らは本質的にそういう人間なんだと思います。それが、今もそのまま続き、そのままネタになっているだけなのかな。

──昨年のM-1では錦鯉、ランジャタイ、真空ジェシカなど、地下のライブシーンで活躍してきたコンビが日の目を見ました。地下芸人の日常とは、どんなものなのでしょう?
ともしげ:昼間にオーディションに行き、夕方にライブ、夜はアルバイトだったり飲み会だったりという日々の繰り返しです。ライブもノーギャラや交通費で消えちゃうレベルのものもたくさんあります。
芝:ただ、こういう話をすると、よく苦節何年とか言いますけど、師匠についているわけでもない地下芸人の苦労って、苦労とは呼べないですよ。社会人が当たり前に経験しなくちゃいけないことから逃げて、子どものまま生きているだけ。馴れ合いと逃げの文化でもあります。
ともしげ:みんな逞しくて、バイトもうまくやるし、バイト先にも大体いい人が多いですし。
芝:苦労していないから、見た目だけ若いままでさ。僕なんかライブでMCになることも多くて、世の中的には何も知らないし、何もできないのに「芝さん、芝さん」って、まるで全部できる人みたいに頼られる。神輿に担がれて、「頼られても知らねぇよ」とは言えない状態で、正直、それがしんどかった。でも、芸人やめる根性もない。じゃあ、どうするかっていったら、頼られている自分に、本当の自分を合わせるしかない。大人になるしかない。
ともしげ:俺もちゃんとするから、お前もちゃんとしようと言われて、彼女に婚約指輪も渡しましたし。
芝:なんかズレてる気がするけど……。もし、子どもが大きくてお金がかかるようなら、ライブに出る余裕もなくなって、そのままフェードアウトしていたかもしれない。とにかく、紙一重です。
──ですが、芸人界隈ではとても評価が高かった。
芝:期待されているのは感じていました。だから、決勝進出が決まったときは、ほっとしたというか。
ともしげ:ありがたいなって気持ちですね。