ニュース

オミクロン株、弱毒でも楽観してはいけない深刻理由。空港検疫の元トップが警告する

重症化しなくても、社会インフラが破壊され始めている

――第5波の状況が再び起こるのでしょうか? 田中:むしろ、危惧するのは社会インフラが機能不全になることです。 静岡市でも保育園や消防署などから感染者が出て、クラスターが発生しています。症状が軽い、重症化しにくいのは事実としても、陽性であれば自宅療養となるし、濃厚接触者も10日間、自宅待機となる。 社会インフラの肝となる人々が動けなくなれば、医療や介護現場だけでなく、交通や物流などの社会インフラがあっという間に破壊されていく。そんなフェイズに移っているんです。軽症の若年者を手先に使って、確実に社会システムの弱点を突いてくる非常に狡猾な戦略です。 閉店

潜伏期間が短く、先回りできない

――感染力が強いだけに、そのリスクも高いと。 田中:また、オミクロン株は潜伏期間が短いのも特徴の一つです。疫学調査すると、感染してから症状が出るまで2日〜3日。体調が悪くなり発熱外来にかかって検査をして、陽性だとわかって保健所に情報が来るまで、感染から大体5日です。しかし、症状が出る前から感染力があるので、保健所が把握した段階で、すでに一人に感染させ、その人がまた別の人に感染させている。先回りができないんです。 ――なるほど。
次のページ
まだデルタ株の感染者もいる
1
2
3
4
5
元厚生労働省成田空港検疫所長。静岡市保健所長(2021年10月より)。 1987年、山口大学医学部卒業。1991年、山口大学大学院医学研究科修了、医学博士。山口大学医学部助手、厚生省健康政策局医事課試験免許室試験専門官などを経て、2007年、JAXA有人宇宙技術部宇宙医学生物学研究室主幹開発員。2010年、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課ゲノム研究企画調整官。2011年、内閣府参事官(ライフイノベーション担当)。2012年、厚生労働省神戸検疫所長。以降、同・東京検疫所長、同・北海道厚生局長を経て、2018年、同・成田空港検疫所長就任。著書に『子供に教えるためのプログラミング入門』、『算数でわかるPythonプログラミング』、『成田空港検疫で何が起きていたのか ─新型コロナ水際対策の功罪』がある。

記事一覧へ