更新日:2022年03月12日 11:09
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「自殺未遂をくりかえす外国人も…」牛久入管の悲惨を、隠しカメラが捉えた

入管に収容されているのはどんな人か

――入管に収容されているのはどのような事情を抱えた人たちなのでしょうか。 トーマス:難民申請が認められなかった人や申請中の人、なかには在留資格はあったものの、何らかの事情で更新できなかった人もいます。 また、そうした人のなかには刑務所から来た人もいます。日本人は刑期が終わったら、刑務所から出て、また普通の生活に戻るための職探しなどができます。でも、外国人はそれができない。30年、40年以上日本で生活し、家族が日本にいる人でも、刑期が終わったら出国せざるを得ません。 ところが、母国へ帰っても、何十年も暮らしていなかった場所で、新しく生活の基盤を築くのは大変です。たとえ犯罪者であっても、基本的人権は守られるべきだと思います。

外国人の「犯罪」歴を強調する発表のバイアス

――外国人の犯罪歴については昨年秋に発表がありましたね。 トーマス:日本政府は強制送還を拒んでいる外国人のうち30%が有罪判決のあった人であると発表しました。 この発表についてコメントしたいのは、まず、残りの70%は犯罪歴のない人たちであるということです。そして、30%の有罪判決を受けた人たちがどのような罪を犯したかというと、殺人罪などの重大犯罪ではなく、その約4割がオーバーステイなどの入管難民法違反者なのです。 こういう発表の仕方は外国人の「犯罪」歴を強調するものであると感じます。(後編につづく) 【後編を読む】⇒ウクライナ避難民8人が日本に。一方で“難民”を収容所にブチ込んでいる実態をどうするのか 【関連記事を読む】⇒「日本政府は私をドブネズミのように扱っている」難民申請者たちの“届かない声” <文/熊野雅恵 (C)Thomas Ash 2021>
ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。
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