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安倍元首相は亡くなった後も日本の政治に影響力を残している

岸田政権には、アベノミクスの弊害を止められない!?

参院選福島選挙区での応援演説をする安倍元首相

参院選福島選挙区での応援演説をする安倍元首相

 最高権力者の座を退いても、アベノミクスの弊害(円安誘導による物価高)には安倍元首相の姿勢に全く変わりはなかった。党内最大派閥代表として岸田首相に大きな影響力を有してもいることから、アベノミクスは現政権にも継承されて「岸田インフレ」を招いているのだ。 「アベノミクスを止めよう」と各地で訴えている立憲民主党の安住淳・元財務大臣は、日米比較をしつつ岸田政権の経済政策をこう批判した。 「『金利を上げてまで、じゃぶじゃぶだった資金を回収しないとインフレは収まらない』という危機感が、米国からはにじみ出ています。しかし日本はそのままです。つまり『物価は上がってもいいから金融をじゃぶじゃぶにしていい』ということです。でも岸田さん、本音はもしかしたら私と同じように、そろそろアベノミクスを止めないと、と思っているかも知れない。でもできない。今の自民党の力関係だとできない。ちょっとでも、それを臭わせたら安倍さんが潰しにかかってくるでしょう。でも黒田さんと安倍さんは、国民生活よりも物価高ではないか」(6月25日の仙台駅前街宣より)。

桜を見る会や森友疑惑でも直撃するが、無言だった

献花 筆者は「桜を見る会」や「森友学園」の疑惑についても安倍元首相を直撃した。しかし、その問いに一言も答えることはなかった。安倍政権を批判してきた元経産官僚の古賀茂明氏は銃撃事件当日の7月8日、『毎日新聞』の取材に対して次のように語った。 「亡くなった方にむちを打つべきではないという一般道徳を尊重しつつも、特にジャーナリズムによる安倍氏の評価や功罪の検証は今後もなされるべきだ」  筆者も同意見だ。今後も、アベノミクスなど安倍政権時代の政策検証に取り組んでいきたい。と同時に、“安倍忖度政治”がそのまま続くのか、軌道修正されていくのかについても注目していくつもりだ。亡くなった後も、安倍元首相は日本政治に影響を及ぼし続けているともいえる。 文・写真/横田一
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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