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「子供は公園でボールを使うな」“子育てしにくい”日本の空気感は変えられるのか

 

止まらない負のループ

   また、なぜ子育て世帯には厳しい視線が注がれるのか聞くと、「それに関するデータがないので明確な答えは出せませんが」としつつ、「寛容度が低くなっている印象はあります」と話す。   「『子どもは公園でボールを使うな』『保育園を建てないでほしい』といった声が出るのは、子育て世帯がマイノリティになり、不寛容になっているからではないでしょうか。今後、子育て世代がマイノリティ化した場合、子どもや子育て世帯への風当たりが強くなり、子どもを育てにくい空気感が加速するかもしれません」  

法律婚以外の選択肢

   負のループを抜け出すため、少子化を防ぐために政府が今やるべきこととして、「まずは家族関連支出を増やすこと」と解説。   「家族関連支出は現在より2倍にしてようやく国際基準になります。予算を増やすことは急務です。次に男性の育休取得のハードルを下げる、選択的夫婦別姓など、ジェンダー観を改める制度の導入です。例えば“家事育児は女性の仕事”という認識を変えることにつながり、男性が家庭に進出しやすくなります。    また、結婚と出産を切り離し、結婚してなくても子どもが育てられるように変えていかなければいけません。例えば、フランスには『PACS』という制度が導入されています。PACSは、社会保障や子どもが生まれた時の手当てを、法律婚とほぼ同等に受けられることができる制度のこと。そのうえ、法律婚で発生する煩雑な手続きも必要なく、事実婚のようにライトに選択できます。PACSを導入することにより、結婚という選択を多様化することになり、子どもが持ちやすくなるでしょう。実際にフランスでは法律婚よりもPACSのほうが子どもを多く持っています」
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少子化を脱するための具体的なアクションとは
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