ライフ

「東京は上には上が無限にいる残酷な世界」タワマン文学の先駆者が描く“勝ち組”の苦悩

取材で感じた守谷住民の「覚悟」

写真はイメージです(以下同)

あかい:タワマン文学を執筆するのに、窓際さんがどうやっていろいろな街の解像度を上げてるのか気になります。 窓際:今、『みんかぶ』という媒体で『東京探訪』という街にクローズアップした短編小説を書いてるんですけど、毎回取材してるんです。  先日も茨城県の守谷を取材しに、常磐道に乗って知人夫婦に会ってきました。守谷って実際行ってみると、めちゃくちゃいい街なんですよ。  瀟洒な住宅街があって、自治体のルールで塀を作らないようにしてて、子供同士が気軽に家をノックしあえる街作りをしている。  守谷に住む人達ってある種の「覚悟」があるんですよ。湾岸の人たちがSNSでイキってる「坪単価いくらで、将来の資産価値が〜」とかじゃない、「自分の理想の子育てを実現するためにこっちに来ました」みたいな。  利便性を犠牲にして、SAPIXじゃない価値観を追求している。そういう判断ができる人って強いなと思います。 あかい:“郊外住まいの家族”なりの幸せをきちんと見つけている。 窓際:自分が住んでる街に100%満足してる人っていないじゃないですか。これは私の小説というか人生のテーマなんですけど、「東京は上には上が無限にいる」わけで。  1億円のマンション買ってもさらに上がいるし、たとえ総合商社に勤めであってもイキれない世界が東京にはある。残酷ですよ。 あかい:同じ土俵で戦ってたら、上を見ることになりますね。 窓際:そういうのを断ち切って、自分なりの幸せを見つけるという意味で、守谷まで行くとそういう覚悟の人が多い。守谷は子供が3人いる家庭も多いんですよ。  あとは浦和も、常盤中や岸中といった名門中学校があって「うちはSAPIX課金しないで、公教育一本で行く」と決めて、子供3人いる家庭があったりして、自分も子育て中ですけどそういう割り切りができる人のほうが本当の意味で強いのかもと思うようになりました。
次のページ
次作のテーマは「お受験」
1
2
3
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート
ハッシュタグ