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アメリカと日本でこんなに違う子育て事情。「日本の少子化は必然」と感じる理由

子育てしたくなる環境作りも大切

日本

3月13日からマスク着用が個人の判断に委ねられた日本。どんどん外に出かけ、人々が閉塞感から解放されることが、「子連れヘイト」を減らすために何よりも効果的なのかもしれない

 アメリカではシッターの利用はかなり一般的である。日本と違い、ちょっとの間でも小さな子どもを置いて外出すると、虐待疑いで警察に通報されてしまうという事情もあるが、夫婦の時間を大切にする文化の影響が大きい。週末の夜などは各子ども向け施設で「パーレントナイトアウト」と呼ばれる、親が息抜きするための一時預かりイベントが実施されているほど。筆者の住むシアトル地域は全米でも人件費が高いため、シッター代は1時間約20ドル(2,600円)かかり、日本の相場と比べても決して安いとは言えないが、合理的なアメリカ人は「時間を買う」ことをいとわない。また、学校の行事は夕方か週末に行われるため、親は仕事を休まずに参加でき、PTA活動も個々の負担がないよう配慮されている印象だ。  少子化の減速により、将来の納税者が増えるわけだから、独身者にとっても高齢者にとってもメリットは大きいはず。アメリカやヨーロッパと異なり、移民による人口増が望めない日本で、若者が子どもを持つことを応援するどころか、逆に排除しているように見える日本の後ろ向きの風潮がとても気になる。もちろん、子を持つも持たないも自由だが、せめて子を持ちたいと思う人が気持ち良く子育てできるような環境を整えることが、いちばんの少子化対策になるのではないだろうか。 <文・写真/ハントシンガー典子>
アメリカ・シアトル在住。エディター歴20年以上。現地の日系タウン誌編集長職に10年以上。日米のメディアでライフスタイル、トレンド、アート、グルメ、カルチャー、旅、観光、歴史、バイリンガル育児、インタビュー、コミック/イラストエッセイなど、多数の記事を執筆・寄稿する傍ら、米企業ウェブサイトを中心に翻訳・コピーライティング業にも従事。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員
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