仕事

現代人の疲れは「うつ病を引き起こしやすい」。脳の効率的な休ませ方を医師に聞く

疲れのサインと休まないデメリット

 パソコンやスマホで作業を続けている人は、内心ビクっとしたかもしれないが、「いきなりうつ状態になることはありません」と、西多先生は言う。うつ状態になる前には、どのようなサインが表れるのだろうか。  疲れのサインについて西多先生は「集中力やパフォーマンスの低下、ミスの増加が挙げられます」と説明しつつ、「初期の頃は、症状がありません。疲れのサインを感じて『休んだほうがいいかも』と思ったときには、脳はすでにヘトヘトの状態です」と付け加える。 「集中力やパフォーマンスの低下、ミスの増加は、作業の質を低下させたり、完結するまでの時間を長引かせてしまったりすることにもつながります。そのため、これまでと同じようなレベルの仕事をしようとしたり、休まずに活動したりして悪循環に陥るケースも少なくありません。  コロナの初期には、リモートワーク過重労働も問題視されました。脳を休ませずに活動をしていると、うつ病の引き金になる可能性もあります。それほど疲れていないはずなのに、なんだかずっと気分や頭が冴えないという場合も注意してください」  具体的にはアイデアが思いつきにくくなったり、これまでと同じような作業なのに時間がかかったりする、物忘れやミスが増えたと感じたら疲れのサインだそうだ。

オン・オフの区別がつきにくい現代人

西多昌規

西多昌規『休む技術』(だいわ文庫)

 集中力やパフォーマンスが低下すると、仕事にも影響する。西多先生は「目の疲れや肩が凝るといった軽い症状しかないため、自分の疲労度合を見分けにくい。これは、現代の疲れが抱える重要な問題です」と言う。 「そもそも、オンとオフの区別がつかない。つけかたがわからないという人も多いと思います。昔は、コーヒーを飲んだり煙草を吸ったりしながら、ボーっとしたり誰かと話したりすることがリフレッシュにつながっていました。でもいまは、休憩してくださいと言われたら、スマホでSNSの閲覧やネットサーフィンをしてしまう。  横になっても同じです。体は横になって休んでいるつもりでも、脳は休憩できていない。仕事でスマホやパソコンを使っている人は、仕事の延長のような感じになり、脳がリフレッシュできないまま再び仕事に戻って疲れを蓄積してしまうというケースもあります」  目の疲れや肩こりぐらいであれば、走ってヘトヘトになったあとのように酷い疲れではないため気にかけることもなく放置してしまい、集中力やパフォーマンスの低下につながるというのだ。
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効率的な休み方は人によって異なる
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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