更新日:2023年04月01日 09:22
仕事

二度引退のプロスポーツ選手、“就職”で得た気づき「狭い世界でチヤホヤされていた」

物事を極めた人が一般社会に出て「消えていくのは本当にもったいない」

菊池選手——「横浜GRITS」の立ち上げ人でもある、臼井亮人(あきひと)代表との出会いを教えてください。 菊池:働きながら、スポーツ選手としてもキャリアを築けるように何とかしたい、と考えているアスリートは結構います。そんな中で、デュアルキャリアでアイスホッケーチームを作りたいという話があり、臼井さんと出会いました。 僕は小さい頃からアイスホッケーを始めて、高校や大学でも日本代表になって、プロアイスホッケー選手にもなれました。ただ、いつかは引退しなければなりません。 一度目の引退をしたときに、すごく狭い世界でチヤホヤされていた自分に気づかされたんです。全員が全員そうではないと思いますが、いざ、アイスホッケーという世界から外に出たときのギャップを感じました。 スポーツ選手は、スポーツをしているときは輝いているんですよ。ただ、ひとつのことを極めてトップまで上りつめた人が、その方向が変わってしまうだけで社会から消えていくような感覚が“本当にもったいない”と思ったんです。 僕が解決したい課題と、「横浜GRITS」がスポーツを通して解決したい課題が同じでしたので、「できることがあったらやらせてください」とお話ししたことがきっかけです。最初は、選手をする気はありませんでした。選手のマネジメントや時間管理、選手の教育の場面で貢献したいと思っていましたが、話しが具体化するなかで、選手が足りなかったので復帰を決意しました。

子どもたちが目指しやすいスポーツにしたい

菊池秀治——今後もアイスホッケーに関わっていきますか? 菊池:もちろんです。スポーツにおいて、報酬がすべてではないですが、特にマイナースポーツでは途中で諦めて就職する人が多いですし、“このくらいの給料しかもらえないのだったら、いつまでできるかわからない”という不安を抱えている人もいます。 現役時代は、約400試合に出場しました。僕よりもアイスホッケーが上手な選手はたくさんいましたが、途中で諦めてしまう人も見てきました。昔は給料の遅延なんてなかったのですが、今はそれが起こるチームも正直あるんです。 そういう環境をなくしていきたいと思っています。そこを食い止められなければ、子どもたちがアイスホッケーを選べないですよね。たとえ子どもたちが選んだとしても、親が辞めさせる可能性もあります。アイスホッケー好きな僕としては、それは本当に辛いことです。 今の世の中で、不景気の影響もあり、どんどんスポーツが衰退していると感じています。スポーツで一番大事なのは、人材です。せめて、人材流出は食い止めたいと思っていますし、そのためのひとつの手段として、デュアルキャリアがあると考えています。 ——「横浜GRITS」のようなチームは、今後増えると思いますか? 菊池:選手だけではなくて、チームスタッフ、ドクター、トレーナー、監督、コーチ、レフェリー、試合当日のオフィシャル(得点版等)などの関係者が、競技だけで生計を立てられる環境にすることが、僕のひとつの目標です。その結果、小さな子どもたちが目指しやすいスポーツになれると信じています。 「横浜GRITS」のようなチームが増えることで、スポーツ選手としての生き方の選択肢が、増えればいいと考えています。ただし、デュアルキャリアだけが正解だとは思いません。選手たちが選択できればいいと思っています。あくまでも、ひとつの選択肢として浸透したらいいですね。
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仕事と競技の両面に良い影響がある
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